在宅勤務, テレワーク, BCP, スタンフォード大学

(写真=Thinkstock/Getty Images)


在宅勤務者の生産性は有意に高いという研究結果

米国スタンフォード大学の研究チームが、ある企業の従業員を在宅勤務するグループとオフィス勤務を続けるグループに分けた上で、9カ月間調査を行った結果、在宅勤務者の生産性が12%上昇したとする研究結果を発表した。

このような在宅勤務という働き方は「テレワーク」とも呼ばれ1980年代後半から議論されてきているが、30年近く経った今でもそれほど普及はしてい ない。しかし、最近になって、テレワーク推進の動きが強まってきている。その背景には、少子高齢化による労働力不足とIT技術の進展がある。つまり、主婦を中心とした潜在的労働力をテレワークによって取り込む必要性が生じていること、パソコンの低価格化とインターネットの普及により、特にオフィスワークにおいて、自宅での労働が可能になったことによるものである。

このテレワークについては、今でも、肯定派と否定派で大きく意見が分かれている。否定派の見解には、①情報漏洩が心配、②コミュニケーションが取りづらい、③社員の業績評価がしづらい、④労務管理がしづらい、などがある。一方、肯定派の見解は、①費用が削減できる、③労働生産性が高い、③雇用を確保しやすい、などである。


「テレワーカーを2020年までに10%以上に」

このように賛否があるなかで、在宅勤務のほうが生産性が高いと研究により明らかにされたことは、今後のテレワークの進展において大きな意味を持つ。政府は、「日本再興戦略」(2013年策定、2014年改訂)において、テレワークの推進に努めるとしている。具体的には、「2016年までに、労働者に優しいテレワーク推奨モデルの構築・普及を図る」、「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にし、また、こうした取り組みを含めた女性の就業支援等により、第一子出産前後の女性の継続就業率を55%、25歳から44歳までの女性の就業率を73%まで高める」という目標を掲げている。

この目標が達成できるか否かは、経営者の意識がどこまで変わるかにかかっているが、労働力不足が深刻な状況において、多様な雇用環境を整備しておくことは重要である。テレワーク否定派が挙げているコミュニケーションがとりにくい、あるいは業績管理や労務管理がしにくいといった問題は、フルタイムの在宅勤務を前提にしていると思われる。もしそのような懸念があるのならば、当面は在宅とオフィス勤務の併存にすればよい。また、仕事の結果ではなくプロセスに重点をおき業績を評価・管理する発想は、現代の成果主義の評価スタイルからすると時代遅れの感がある。プログラマー、デザイナー、ライターなど成果物がある職種の場合は原則作業は在宅で行い、必要なときだけ出社するというスタイルもあるのだ。

最近では、東日本大震災を教訓にBCP(事業継続計画)の重要性が叫ばれており、その一環としてテレワークも注目されている。平時から在宅での勤務を可能にしておくことで、いざ災害で交通網が途絶えた場合でも、事業を継続することができるからである。