アメーバ経営,JAL,日本航空

(写真=Thinkstock/Getty Images)

京セラの創業者である稲盛和夫氏の経営手法が、今経営者達の注目を集めている。2010年に会社更生法を申請した日本航空 <9201> を、わずか数年で再建を成し遂げつつあるからである。稲盛氏の著書である『アメーバ経営』が国を超え経営者たちの間で読まれ、さらに各種の経済メディアにおいてもアメーバ経営の手法についての特集が組まれている。

そんなアメーバ経営の具体的な手法は社内の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、採算を明確化や人件費を経費に含まず時間当たり付加価値を採用するといった手段である。もちろん素晴らしい経営手法なのだが、どうやってこのような経営手法にたどり着いたのだろうか。

アメーバ経営、一見高度な経営手法にも思えるが、実はこの手法の背景は、たった一つの非常にシンプルなルールによって支えられている。それは、従業員を信用して権限を委譲するという、ただそれだけのルールである。他の経営手法と比べて解説していきたい。


トヨタ「カイゼン」に比べ権限に関して先を行く「アメーバ経営」

世界的にも有名であるトヨタのカイゼンを考えてみよう。カイゼンの基本は作業効率の向上や安全性確保のため、現場の作業員が自分の業務をよりよくするために考えて、事後的に経営陣に報告するというものである。自分の作業だからこそ、業務を現在よりもどんどん工夫したやり方に変えることも可能となり、自身のメリットになるのである。

その際に、経営者の許可を得てから業務の変更を行うのではなく、あくまでも現場でカイゼンされて完結したものが上層部に報告されている。すなわち変更権限は経営者から現場の作業員へ委譲されているのである。

アメーバ経営を権限の観点から考えてみると、このカイゼンのさらに一歩先に行っていることがわかる。部門の細分化して採算性を見える化したり、人件費を経費に含まず時間当たり付加価値を採用したりするのは、損得を現場で判断させ、よりよい業務のやり方をホワイトカラーに判断させるためなのである。

そう考えれば人件費をなぜ経費に含んでいないかがわかる。人件費は通常固定費であり、業務を遂行してもしなくても必要な経費になる。いずれにせよ発生する費用ならば、それは業務を行うか否かの損得判断には関わらないのである。

経営者から現場へ業務の変更権限が委譲されているのがトヨタ流のカイゼンならば、さ採算まで含んだ経営判断を現場に任せているのがアメーバ式経営であるのだ。