大学新聞社-東京本社編集局編集局長 川窪達也-620x330

(この記事は2014年3月23日に掲載されたものです。提供: Biglife21

学生がむさぼり読む『就活支援ジャーナル』を発行している大学新聞社に、中小企業が優秀な人材を確保するために実践すべきことを聞いてみた!

学生の大手企業へのブランド志向が根強い中、中堅・中小企業はいかに優秀な人材を確保するか──。

その難題に一石を投じるのではと注目を集めているのが、『大學新聞』で知られる大学新聞社が発行する就職情報紙『就活支援ジャーナル』(2013年度創刊、15年度6回発行予定)だ。伸び盛りの企業など、申請・審査を経て「優良成長企業」に認定された企業の情報を掲載。形式的には各大学のキャリア支援部署主催の形は取るものの、実質的には実施を主導する「学内合同企業説明会」(以下、学内合説)において学生に直接手渡しを行うなど、約3万部を徹底配布している。年度間の学内合説実施330回以上を誇る棋界のリーディングカンパニーとして、絶対的な信用を得ているのが大学新聞社の圧倒的な強みだ。

事業の狙いや優秀な人材を確保する上で重要なポイントなどを、東京本社編集局の編集局長・川窪達也さんと、キャリアコンサル課マネージャー内田琢二さんにうかがった。


大学・学生共に「安定して勤められる会社」を求めている

―『就活支援ジャーナル』の刊行と共に、「学内合説」開催にも携わっていますね。優秀な人材を確保するために、中小企業は大学・高校とどういう距離感でつき合うべきでしょうか。

川窪:ひと口に就職といっても、高校と大学では仕組みが全く違います。高校の場合、県にもよりますが、1人の生徒は一度に1社しか応募できないのが基本であり、進路や就職指導の先生方が万全の体制でバックアップします。先生方の裁量が大きいのは言うまでもありません。ですから、優秀な高校新卒を確保したいのであれば、高校訪問を地道に繰り返すなど、そうした先生方に食い込んで良好な関係性を築いておく必要があります。対して大学は、基本的には学生個人任せですから、その分企業側のスタンスは難しい。

―高校新卒の場合は、先生方に対する自社の印象を良くすることが不可欠であると?

川窪:仮に非公開求人を出したからといって、必ずしも採用できるというわけではありませんが、姿勢は必ず伝わります。「人事の○○さんがいる会社だから、うちの生徒をぜひお願いしたい」という信頼関係が築けるか否かが分かれ目です。

―なるほど。一方、大学生に対してはどういうところがポイントになるのでしょうか。

内田:現代は情報が虚実紛れて飛び交う時代。そんな中、大学というフィルターを通すことが、学生本人や保護者が安心する要素になっています。そのため、大学のキャリア支援部署が主催する「就職イベント」に参加したいという企業は非常に多い。一方、キャリア支援部署も学生に良い会社に入ってほしいと思っているため、参加企業についてはその企業が学生の将来のために紹介したい企業であるかどうか、さまざまな角度からよく調べたうえで案内されていると思います。それゆえ参加される企業は「学生の将来のために紹介したい会社である」ところあたりがポイントでしょうか。

―キャリア支援部署へのアピールが必要になってくるわけですね。大学や個別学生にとって、「良い会社」とはどのような会社なのでしょうか。

内田:近年、大手・中小に関わりなく、企業では合理化が求められています。そのため、仮に大手企業であっても被雇用者にとっては安定的な企業とは言い切れません。長期的に見ると分業化が進む中では、かえって高リスクだとの見方もあります。個人の価値観にもよりますが、やはり仕事を通じて自己成長できる会社、自分の付加価値を高められる会社、雰囲気が自分に合っていて長く勤められる会社、そして社員を大切にする会社でしょうか。

―効果的なアピール方法を教えてください。

内田:まず、会社の雰囲気を良くすることが大切です。せっかく学内合説を通じて就活生と接する機会があってもマイナスの印象を持たれると逆効果です。社員の態度や様子を学生はよく見ていて、後ろ向きな意見など、仕事に対する姿勢・真摯さなどに敏感なようです。また雰囲気ももちろん明るいほうが良い。自己を成長させることができる環境か否かについては、社員一人ひとりが会社を代表する意見が言えるなどで権限が委譲されており、自由で風通しが良いかの判断がなされるようです。それら参加学生の意見やOB・OGからの意見も結果的にキャリア支援部署に集約されることになります。

川窪:OB・OGの活躍も一つのキーになっています。例えば5年前の卒業生が若くして部長になっているとか、実際に入社した先輩がイキイキと働いている様子はかなり大きく響くでしょう。もちろん、就活生のみならずその保護者や友人などからも「その会社だったらいいね!」と好印象を抱かれる努力も欠かせません。