経営者が送るメッセージは学生のイメージを変える鍵

―人材獲得のために経営者が理解しておくべきこと、実践できることを挙げてください。

内田:学内合説にご参画いただく企業経営者の中で、若者の心をわしづかみにするのは、将来の展望が明確で言葉に力がある方です。そういう方が送るメッセージは厳しい反面、就活で参考になるような示唆に富んでいることが多く、学生の印象もおおむね良好です。

川窪:いまの学生は、業種や業態よりも社風や環境、人間関係を第一に考える向きが多数派です。社内の風通しが良くて、オシャレな立地が歓迎されます。ですから、まずは自社のことを知ってもらう必要があります。その意味では発信力やセルフプロデュースが不可欠でしょう。心地良く記憶に残るフレーズだったり、あるいはシンボリックな身なりだったり。そういう部分の積み重ねでその企業に対するイメージが構築されていきます。

―学内合説は、実際に顔を付き合わせて話すイベントですね。そうだとすれば、学生の心に何を残せるかが重要になってくる。

内田:現在はネットを中心に就活を展開する学生が多いですが、そこはパソコンキー一つで100社へのエントリーが可能であり、全国から就活生が殺到する世界でもあります。ごく普通に考えれば、内定獲得は容易ではない。だからこそ、もう一つの就活方法として学生にはぜひ、フェイス・トゥー・フェイスの機会を活用する学内合説に興味を持ってもらいたいですね。参加企業はまず学生の採用を人物本位で考えるところが多い。それだけ多くの学生にとってチャンスがあります。

川窪:巨大メガサイトで採用ができなかった中堅企業が、学内合説における学生との直接面談で採用につながった例も少なくありません。サイトでは十分に伝わらない自社の強みやアピールポイントを、自分たちの言葉で直接学生に話をできるのは、大きな魅力だと思います。

―『就活支援ジャーナル』をはじめとする就活支援事業は現在3年目とのことですが、今後はどのような方向性での拡大を考えておられますか。

川窪:学生はしばしば、マスコミで喧伝される「就職人気企業」に目を奪われがちですが、仮に人気上位100社まで広げても、採用数はおおむね2万人前後から多くても3万人には届きません。大手の就職サイトではそうした印象評価というか、人気が高い企業の情報が一面的に注目を集めていて、そこに大学新卒予定者55万人の、少なく見積もっても7割超を占める就職志望者42万人以上が殺到する図式になっています。すべての採用がネット上で行われたにしても、率にして5%程度。ほとんどは不採用になってしまう現状を何とかしたい。

第三局というか対立軸の視点から大手にはできないことを、私たちの手でやっていきたい気持ちがあります。95%が不採用になる就活システム、しかしそれがスタンダードであるとの考え方に他の見方を提示したいのです。