結果を早く求められるデメリットも

ただしグローバル経営を進めると、経営者は株主からつねに短期的な成果を要求される。日本的経営であれば、じっくりと慎重に経営できるが、グローバル経営ではそうはいかない。安易に短期の収益獲得をめざすばかりに、無理な経営判断をせざるを得ない状況も多い。

最近、数億円単位で資金を調達するベンチャー企業の話を聞く機会が増えている。しかもその資金調達の目的は、新規の事業投資などではなく、株価の上昇や株式配当の原資として、である。株主は投資に対するリターンをすぐに要求するので、株式の上場が「目的」となってしまっているのだ。しかし本来上場は通過点であり、株式公開によって得られた資金は次の飛躍のためにこそ投下されなくてはならない。単なる資金のための資金調達では、当該企業だけでなく産業そのものがうまく成長せず、ただのマネーゲームになってしまう。

優秀な人材を求め、多額の資金も求める。さらに固定費は減らしたい。そうした要望を完全に満たすことは難しい。長期的に会社の存続を求めるなら、日本的経営の良さを取り入れるメリットは大きい。これからはどちらか一方ではなく、ハイブリッドでバランスを絶妙に取りつつ成長を続ける企業が、ベンチャー企業の中からも多く出てくるだろう。

どちらか一方ではなく、両方のいいところを採用し、「バランス」を取りつつ真のグローバルをめざす企業が多く出てくることを願っている。

(ZUU online 編集部)

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