税金対策,みなし解散,休眠会社

法人登記はされているものの、実際には企業活動をしていない会社が国内に約8万8,000社あることが、法務省の調査で分かった。このような会社は、「休眠会社」と呼ばれ、法人登記の売買により、新たに会社を設立するよりも低コストで設立ができ、各種届出や審査が不要であるなど脱法の問題があり、また、租税回避や犯罪に利用されるなどの問題も指摘されていた。


気づかぬうちに会社がなくなることも

法務省は、これまでも株式会社については12年を経過した場合に、職権で「みなし解散」をしてきた。つまり、最後の登記の日から12年経過してしまうと、法務大臣による官報公告と、本店所轄の登記所から本店所在地への通知がなされ、「事業を継続している場合は、公告及び通知の日から2ヵ月以内に事業を廃止していない旨の届出を本店所在地所轄の登記所に提出すること。」が要請される。

もし、届出をしないと、2ヵ月の期限経過後に、職権で解散登記がなされる。解散登記がなされてしまうと、営業活動ができなくなるのである。更に、解散登記を放置しておくと、みなし解散登記から3年経過後に職権で清算結了登記がなされる。そうなると会社の存在自体がなくなる。


届け出が毎年実施になるも問題が

同省は、2015年度からこれを毎年実施する方針を固めた。以前は登記を紙で管理していたが、登記が電子化され、実態を把握しやすくなったからだ。みなし解散は、役員変更などの登記が一定期間以上行われない会社を対象に法務省の判断で解散させる制度なので、定期的に変更登記していればみなし解散されることはない。

しかし、税金対策のために法人を作っているような場合には、法定の役員変更登記も忘れがちである。また、本店を移転しているにもかかわらず、移転登記を放置しているような場合には通知が届かず、知らないうちにみなし解散されるおそれがある。実際、法務省民事局によると、今回通知した8万8,000社のうち、「宛先不明」として返送されたのは約6万社で、大半がみなし解散となる可能性が高いという。


そもそも法人とは

ここで、法人について少し解説しておくと、法人は登記によって、法人格を取得し、法人格を取得すると、法人の名義で取引(営業活動)ができるようになる。個人に比べ信用力が増し、責任の所在も個人ではなく法人自体が負うことになる。

法人は解散しても直ちになくなるわけではなく、債権者に債務を弁済し、株主に残余財産を分配するなど清算手続をする必要がある。この清算が終わると、清算結了登記がなされ、法人は消滅することになるのである。

今回の改正により、みなし解散の実施時期が毎年となることによって、どのようの影響がでるかであるが、実体のない会社を一掃できるので、法人数が減少することになると思われる。