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サントリーホールディングスは1月から海外を含む主要なグループ30社で管理職の評価基準を統一する。対象となるのは管理職のみで、約1万人となる見込み。

サントリーホールディングスは海外でのM&Aを積極的に行っており、38,000人の従業員のうち約6割が外国人。売上も欧州、アジア・オセアニア、北米・中南米で2割を占める。まさに日本を代表するグローバル企業の一社だ。

サントリーによる今回の評価基準の統一化は、まずグループ230社のうち30社で始まる。全体の1割程度でスタートし、うまくいけばグループ全社に拡大されると予想されている。


評価基準の統一化の目的

会社が子会社を設立したり、他社をM&Aするとグループ全体の組織はどんどん肥大化していく。当初は評価基準なども統一するが、やがてグループ各社でバラバラとなり、改めて人事・給与システムなどを統合しなければならない事態が生じる。

しかしそれには、多額の資金が必要になる。また、評価基準は統一すれば終わりではなく、評価者の教育も必要になってくるため、ますますおざなりにされがちだ。

評価基準を統一するメリットとしては、どのグループ会社のどの部門に所属していても、評価が同じなのでグループ間の異動がしやすいことがあげられる。また人材交流も活発化し、よりコミュニケーションが密になり、組織全体の風通しがよくなる可能性も高い。

また、日本で採用した人材を海外に送り出したり、反対に海外で採用した人材を日本で迎えたりすることもより容易になる。これにより、海外での採用や有能な人材の流出も防止できるという効果がある。

いいことずくめのようだが、実際は前述したように人事・給与システムの統合や、評価者・被評価者への教育等、膨大なコストが生じる。しかしコストよりもメリットが多いと判断したからこそ、サントリーは導入に踏み切ったと考えられる。


グローカルから、グローバルへ

ゼネラル・エレクトリックや、プロクター・アンド・ギャンブルといったグローバル大企業には、世界で共通した評価基準がある。これらの企業は、M&A実施当初からシステムや評価基準の統一を行っているため、最初から全世界で同じだ。

海外進出に積極的なわが国企業の多くは、これまではグローカル人材の育成がメインだった。グローカル人材とは、日本と進出国の企業とつなぐ人材、ブリッジ人材ともいう。グローカル人材を育成するには、そもそも有能な人材を日本でたくさん育成する必要がある。そして育成後、海外へと派遣するのだが、競争が激しい今の時代ではじっくりと育成する時間も資金もかけられない。

また、グローカル人材の育成だけでは、海外で現地採用した有能な人材がどんどん流出してしまうということが起こっており、せっかく海外に進出したのになかなかうまくいかないという事態が続いている。

これからは文化や思考プロセスが異なる人材をうまく組み合わせて職場を活性化させる意味でも、評価基準を統一していく流れが加速していくだろう。

多様性を活かすための評価基準の統一は、海外進出を進めるグローバル企業だけでなく、国内でM&Aを進める企業にも同様にいえることだ。

棚上げしていた評価基準の統一を検討するいい機会だろう。一度、自社グループでも導入を検討されてはいかがだろうか。

(ZUU online 編集部)

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