政府は2020年度までにプライマリーバランスを黒字化する目標を掲げている。6月中にまとめる財政健全化計画を巡り、名目3%程度の高い成長率を前提にすることの是非が議論されている。名目3%程度の成長率の前提は楽観的すぎるという意見が多い。

しかし、名目3%程度の成長率が達成できないのであれば、2020年度までにプライマリーバランスを黒字化すること自体が妥当なのか議論されることがないのは疑問だ。

政府・日銀は物価上昇率を早期に+2%程度まで押し上げる共同目標を持っている。そうであれば、名目3%程度の成長率は実質では1%程度の成長率ということになる。デフレ完全脱却を家計と企業が感じるには、最低ラインの成長率であろう。

名目3%程度の成長率が達成できないのであれば、財政を過度に緊縮にすることはデフレへの逆戻りのリスクになるため、プライマリーバランスの黒字化は2020年度から数年先送りするのが、本来の姿であると言える。

2020年度のプライマリーバランスの目標からの逆算することだけに限定され、本来の財政議論が逆立ちしてしまっていないだろうか?

振り返れば、なぜ2020年度にプライマリーバランスを黒字化することになったのか、2010年度の計画段階で10年が区切りがよいということ以外、いまだに理由がよくわからない。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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