しかし、ある特定の栄養素を高濃度に摂取した場合、身体にとって不利益に働く場合もある。たとえば脂溶性ビタミン類(ビタミンA、E、Dなど)の過剰摂取は肝臓などに蓄積し有害に働くことが知られている。また、アレルギーのように個人によって摂取した時の反応が異なる食品もある。

このように個人で発生した健康被害について、メーカーが追跡して原因追求と再発防止策を立てる必要がある。機能性表示食品の消費者庁ガイドラインには「健康被害の発生の未然防止及び拡大防止のため、情報収集し、報告を行う体制を整備しなければならない」と明記されているものの、情報収集の具体的な行政指導は行われていない。


「情報の非対称性」が懸念

機能性表示食品に限らず、メーカーが知っている製品情報と、消費者が知りえる製品情報には情報の量も質も格段の差があり、いわゆる「情報の非対称性」が生じている。もちろん食品メーカーは不利益な情報については開示したがらない。機能性表示食品においては情報の非対称性が極端に現れる可能性があり、消費者はメーカーの示す表示だけではなく、自らも積極的に情報を収集する必要があるだろう。

機能性食品について共通する注意事項としては「どんな栄養素も摂り過ぎたら有害になることがある」こと、「人によっては体に合わない食品がある」こと、「長期的な安全性については担保されていないことが多いことから一食品を長く摂取し続けない」などを知っておくべきである。そして、食品を摂取した後に「なんか変だな」と違和感を感じたら、摂取を即中止し、医師などに相談すべきだろう。


海外市場拡大のチャンスも

機能性表示食品については、諸外国ではすでに確立した食品カテゴリーになっている。今後、TPP交渉の動向次第では、食品の海外輸出入が活発化する可能性が高く、日本ブランドの機能性表示食品を世界に売り込むチャンスにもなる。少子高齢化で国内市場に閉塞感を感じつつある各メーカーにとっては、この新制度に大きな期待をかけているのだ。(ZUU online 編集部)

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