「日本ブランド」はすでに築かれている?

ブランディング戦略においては、そのブランドが持つ主義・主張・姿勢と、受け取る側のベネフィットの両方を検討すべきだ。

その点で今回のサミット開催地選択で受け取る側が得るベネフィットとして考えられるのは、「文化と伝統」を持つ国とのイメージの強化、または再認識であり、もう少し踏み込んで言えば「日本へのさらなる理解と尊敬の念」だ。

だが意図せずとも、ユニークな歴史や文化によって「日本ブランド」はすでに築かれている。これをいまさらアピールすることは、ともすると「自己満足」に陥りかねないだろう。

現在他国からの最大の関心事は、現在盛んに議論されている安保法制の行方だろう。その点では、日本が「平和国家」であるというメッセージを送ること、すなわち日本を「平和を求める国家」としてブランディングする「広島サミット」というオプションも検討されたはずだ。

「平和を求める国家」というブランディングは誰も否定できない価値であろうし、日本の安全保障の姿勢を強くアピールできる。これは受け手である他国の政府・国民にとって大きなベネフィットになるだろう。

さらには、ノーベル平和賞を受賞しているアメリカ・オバマ大統領の広島訪問を実現する「口実」となり、「平和国家」のメッセージをより強力にアピールできる。また来年のサミット開催翌月の参院選において自民党単独過半数実現を狙っている安倍首相にとって、「広島サミット」の成功は政治的インパクトが大きかったかもしれない。

ブランディングは自分の主義・主張だけでは成り立たないものであり、受け手のベネフィットもより慎重に検討すべきだ。来年の「伊勢志摩サミット」を、日本という「国」のブランディングの観点で見守りたい。(ZUU online 編集部)

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