高齢化、少子化を経て、「人口減少」という、より深刻なフェーズを迎えつつある日本の人口問題。総人口は2013年で1億2730万人と、すでにピーク(2006-09年頃の約1億2,800万人)から70万人の減少している。

国立社会保障・人口問題研究所は、政府の年金再計算の基礎としてほぼ5年に一度「日本の将来推計人口」を改定公表しているが、その最新版(平成 24 年1月推計)によれば、2060年の総人口(中位推計)は9,700万人程度と、現在の4分の3にまで縮小するという。

日本だけでなくほかの先進諸国の多くでも、今後の人口減少や人口増加率鈍化は確実視されている。日本はその中でも、最も早く人口減少に転じ、減少のテンポも最大だ。国際的にも人口減少のトップランナーと言えるだろう。

「少子化」よりも「長寿化」が主因

ここまでは、すでに何度も話題にのぼっている周知の事実。「少子化」がその主因というのが一般的だが、必ずしもそれは的を得ていない。より基本的な原因は我が国の長寿化そのものだ。日本人の平均寿命は1980年代以降世界一を続け、65歳時の平均余命の伸びもめざましい。長寿化が進めば進むほど「死亡適齢期」人口が増え、日本の死亡者数増加テンポが高くなっていくという皮肉な結果につながる。

こうした問題意識に立って、人口減少の将来展望を、世代別の死亡者数という視点から掘り下げてみたい。

グラフは先述の最新版「日本の将来推計人口」(中位推計)をベースに算出した世代別死亡者数予測だ。元のデータは5年ごとの動きだが便宜上、単純に5で割って「年率」表示にしている。

まず3つの折れ線のうち、一番上は死亡者総数、第2のそれは出生総数を、そして最下部の点線は両者の差、すなわち人口の自然減の規模を示す。なお「将来推計人口」は移民の流出入という「社会増減」も一応勘案してはいるが、全体の姿に影響を与えるほどの扱いとはなっていない。

大きな流れを要約しよう。2003年に100万人を超えた年間死亡者数は現在約130万人。出生数は約100万人なので、年30万人の自然減。今後、死亡者数は増え続け、2036-40年には死亡者が年間160万人という時代を迎えるが、この頃から自然減の規模自体は年100万人でほぼ安定化する。

棒グラフの方は、5歳刻みの世代別将来人口を、年齢別人口を5年ごとにコーホート・スライドさせ、各期間の死亡者数を「逆算」したものだ。たとえば、2010年の65-69歳人口は約830万人だが、彼らが5年分歳老いた2015年の70-74歳人口は約780万人と予測されているので、2011-15年の5年間にこの世代(1946-50年生まれ)が50万人死亡する計算になる。世代はもともと5歳刻みのデータだが、適宜グループ化して「戦前派」、「戦中派」、「第1次BB(ベビーブーマー)」などと呼び名を付けた。