「理論的には100%正しい」アベノミクス

日本の経済が、今どういう事になっているかという事を、分かりやすくお話しします。とりわけ、日本の今の政策で関心がある「成長戦略」「国家戦略特区」それから「都市開発にどう結びつくのか」といった点について、出来るだけ、詳しくお話しします。

アベノミクスというのは「3本の矢」からなっています。この3本の矢は、毛利元就という16世紀の武将の話からきており、彼には3人の子供がいました。毛利元就が3人の子供を呼び集めて「1本の矢ならすぐに折れるかもしれない。しかし、3本しっかりと束ねて持つとなかなか折れない」と話したといわれています。「お前たち3人の子供は力を合わせて、この毛利家を守り継ぐんだ」。そういうメッセージを子供達に送った訳です。

しかし、「3本の矢」で象徴されるアベノミクスは要は、3つの戦略を組み合わせるということです。3本の矢が正しいか随分色んな議論がありますが、理論的には100%正しいと是非申し上げたい。あえて言えば、経済学の基本に極めて忠実に作られた、ごく当たり前の経済政策です。「3本の矢が正しいかどうか」ではなくて「3本の矢が本当にしっかりと実施されるかどうか、実行されるかどうか」こそが、重要なポイントであります。


目指したのはデフレ克服―第1の矢・金融緩和

第1の矢は、デフレを克服するための積極的な金融緩和です。金融緩和というマクロの金融政策に関する話で、つまり中央銀行(セントラルバンク)についての話です。

デフレについては、日本は15年以上に渡って、主要国の中で唯一、デフレーションを経験した国でした。20年前の物価水準と今の物価水準がほとんど変わらず、日本はその意味で珍しい国でした。それ以前には、インフレに悩んでいましたから、デフレーションが始まった時に、十分にその深刻さというものを意識できず、インフレ以上に、経済に深刻な影響を及ぼすということを、この15年間で、学んできました。

つまり、その一つとして、デフレーションが進む中では、個人が消費を進めることが出来ません。キャッシュを持っている方が得です。キャッシュを物に変えたら、物の価値が下がる。キャッシュを持っていた方が得です。

同じことが投資についても言えます。物に投資するとこの価値が下がる。キャッシュを持っている方が得だ。日本はゼロ金利だいう風によく言われて、何故キャッシュを持っていますとよく言われます。けれども、実は、実質金利、名目金利から物価上昇率、マイナスの物価上昇率を引いた実質金利は、長期に渡って比較的高い国であったということが言えます。そういうことで「消費と投資が進まない。デフレこそが諸悪の根源である」と安倍総理は考えました。