財政再建は「残された仕事」
安倍総理はそれを見て、去年の10月に一つの決断をしました。2015年の10月に予定されていた、第2弾の消費税の引き上げを延期して、その代わりに、今年の夏までに財政再建を実現するためのロードマップの作成を約束しました。その期限もあと2カ月、1カ月半位のところに迫っています。今、まさに政府の中で、どのような財政再建を実現するかどうかということを、非常に大きな議論が行われています。
しかし、これはなかなか大変なようです。最終的には、経済を成長させて、経済が成長することによって、税収が増える、自然増収する。そういうことが財政健全化の基本にはなるわけですが、やはりそれを超えて膨張し続ける、社会保障費を削らなければいけません。特に人口が高齢化する中で、年金と医療に関する制度改革は重要なタスクです。ただ、国民生活に非常に大きく影響する問題でありますから、容易に政治的な知見では出来ません。その難しい選択をどのようにするか、結論を1カ月後位に政府は出さなければならない状況になっています。
いずれにしても、第2の矢である財政政策については「前半はきちんとやったけれども、後半の財政再建は残された仕事だ」という事になります。
特区で規制乗り越えられるか?―第3の矢・成長戦略
さて、おそらく極めて重要な意味を持つし、ビジネスにも大変深く関わってくるでしょう。第3の矢。成長戦略です。第1、第2の矢が、需要側に関係する政策だとすれば、第3の矢はまさにサプライサイドに影響します。
この第3の矢の趣旨は、中・長期的な成長力を高めて、潜在的な成長力、ポテンシャル高めるための政策、そのための規制緩和、いわゆるストラクチャリフォーム構造改革をしなければいけなくなります。他方で、ひどく権威を持った人達が規制緩和に反対するので、政治的には、非常に難しいタスクになることになります。
厳しい評価もあります。アメリカの名門大であるイエール大学に浜田宏一先生という大変に立派な名誉教授がいらっしゃいます。安倍総理のメンターでもいらっしゃいますが、2年前初めて成長戦略が出来た時に、非常に厳しい評価をしました。第1の矢に成績をつけるならば、スコアをつけるならば、よくやっているから成績はAだ。第2の矢は半分やっているから成績をつければB。しかし第3の矢は非常に成績が悪い、成績を付けるならばEだ。A・B・E、安倍だ。という風に浜田先生は言われました。