分かれるアベノミクス評価
ところが、第1と第2の矢は、需要サイドの政策、第3の矢は供給サイドの政策という違いがあります。第3の矢はやはり時間がかかります。政策を決めるプロセスも違います。
例えば、金融政策は、日本銀行の金融政策決定会合というポリシーボードを2日間で変えることが出来ます。これに対して、第3の矢で国家戦略特区を設けるには時間がかかります。法律改正が必要ですから、準備期間を含めると最低でも1年はかかります。かたや2日で変えられる金融政策、かたや1年かかる成長戦略。他の2つに比べて、そんなに容易に実現できるものではありません。
しかし、成長戦略の第2弾を政府が発表した頃から、実は評価も微妙に変わってきました。去年の6月末のエコノミストマガジンは非常に高い評価をアベノミクスに与えました。具体的には「3本の矢というよりは、1000本の太い針、英語で言えば「シックネイル」を日本社会に打ち込んでいるようだ」と評価をしました。
ところが、同じイギリスのフィナンシャルタイムズ紙は、安倍内閣の成長戦略に、非常に厳しい評価を下しました。「安倍内閣の成長戦略は、考え方としては正しいけれども、政治的には非常に困難で、多分実現できないと思います。約束は、空手形に終わるだろう」と。そういう評価を下しました。
エコノミストが正しいのでしょうか、フィナンシャルタイムズが正しいのでしょうか。実際には両方とも、非常に重要な側面を付いるでしょう。今、議論されている成長戦略は、非常に大きなチャンスをもたらしてるというのは間違いない事実です。同時に、実現するには、さらなる政治のリーダーシップが必要だという大変な困難な問題も含まれています。今、これら両方と向き合わなければいけないということなのでしょう。(ZUU online編集部)
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