(写真=PIXTA)
近い将来、スマートフォンのカメラがデュアルカメラ標準になると、これまでネットショッピングで難しかった衣料品のサイズの問題がクリアされ、市場規模を一気に押し広げる可能性がある。
近づきつつある、スマートフォンのデュアルカメラ化
一部報道では、アップルやサムスンが自社のスマートフォンに、カメラセンサーを2つ用いたデュアルカメラを搭載するのではないかという噂がある。この手の噂はよくあるものだが、デュアルカメラ化はそろそろかもしれない。
理由のひとつは、世界的なスマートフォン販売の伸び悩みが予想されていることだ。スマートフォンの世界出荷台数の伸びは、2014年の27.6%から、2015年は11.3%程度に鈍化するとみられている。
中国でのスマートフォンの普及が一巡したこと、また、買い替えを促すような新機能も出てきていないためだ。ここで、販売台数を伸ばすために、ごく近い将来に、アップルやサムスンがデュアルカメラを搭載したスマートフォンを投入してくることは、十分に考えられる。
ふたつ目として、デュアルカメラ以外の指紋認証や、『Apple Pay』など決済機能が揃い始め、デュアルカメラの性能を活かす環境が整ってきたことだ。アップルは2015年に、複数のセンサーを利用して複数の映像を同時に撮影する技術を専門に研究しているイスラエル企業のLinxを買収している。
デュアルカメラで3Dスキャンができるようになる
デュアルカメラになると何ができるようになるのか。例えばHTCの「HTC One M8」では、深度情報を利用できる。深度情報とは、カメラから写っている物までの距離のことを指す。デュアルカメラでは、一枚の画像から、手前に写っているものと遠くに写っているものを識別できるようになり、撮影した後でも画像の焦点を変更できる。
アップルが買収したイスラエルのLinxが開発しているデュアルカメラでは、一眼レフカメラで撮ったようなボケ感のある写真や、低照度下でもフラッシュを使わずに撮影ができる。また、3D画像キャプチャーなども可能だ。
デュアルカメラの意味は、高品質の画像を撮れるようになるだけではない。画像を撮るだけで、撮ったものまでの距離や、形、サイズを計測できるようになる。この新しい情報を利用することができるデュアルカメラは、スマートフォンとEコマースに大きな影響をあたえる可能性があるのだ。