不動産流通政策の目指すもの
中古住宅取引市場の拡大に向けたこの事業者間連携による、売主・買主の情報格差の是正と宅建業者による適切な情報提供とコンサルティング能力の向上は、その他国土交通省による様々な取り組みとリンクし、不動産流通政策の中の重要な課題です。
前回、このコラムで取り上げた「不動産総合データベース」では、中古住宅の取引における、散逸されている購入判断に必要とされる情報が集約されることで、不動産会社が売買時における調査や情報集約に係る負担やコストを減らすことに寄与します。
消費者に対して適切な時期に適切な情報が提供されづらいといった問題をこのデータベースの整備によって一元的に必要な情報を集約し提供するシステムを構築することで、不動産会社から消費者への適切な情報提供及びコンサルティングサービスが普及・定着することを目指しています。
そして、この4月からは「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」と名称変更され、その職務の重大さの再認識と倫理規定の見直し、そして講習等の充実を図り、士業として相応しい資質の維持向上を目指すとともに、各業界団体による指導監督体制の徹底も進めています。
また、近年の中古戸建て住宅市場における、築30年以上の物件が流通する割合が増加している中、全ての住宅が一律に経年減価し築後20~25年程度で市場価値がゼロとなるとされる取引市場における評価の現状を改善するため、主として中古戸建て住宅の流通時における建物の評価について、実務において市場価値に加えて住宅の使用価値も併せて把握できる環境を整備することで、取引市場への新たな評価の浸透を図るために「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」も出され、それらを踏まえた「価格査定マニュアル 2015年版」もこの7月にリリースされることになっています。
以上のように、これまで個々に検討・準備されてきた様々な取り組みが一つの方向にまとまり、安心な中古住宅取引市場の形成が実現する、そんなタイミングに差し掛かっていると言えるでしょう。
<著者プロフィール>
高橋 正典 不動産コンサルタント。株式会社バイヤーズスタイル代表取締役。2000件以上の不動産売買に携わるなど、現場を最もよく知る不動産コンサルタン ト。NPO法人住宅再生推進機構専務理事、一般社団法人相続支援士協会理事。著書に「プロだけが知っている!中古住宅の選び方・買い方」朝日新聞出版、 「不動産広告を読め」東洋経済新報社他
(記事提供: 週刊ビル経営 )
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