インターネット通販の拡大を背景にメガ倉庫の建設ラッシュが続いている。物流施設を展開しているグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)は5月下旬に、神奈川県綾瀬市で開発を進めていた物流施設「GLP綾瀬」(延べ床面積6万8,000平方メートル)の竣工を発表した。また、物流施設を開発・運営するプロロジスは6月から、大阪府茨木市で、大型マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク茨木」の建設工事に着手している。
これらの倉庫需要は産業構造の変化に伴って発生しているもので、一過性のオリンピック景気とは関係なく、今後も続くことが予想される。
その一方で、今までの旧来の都心部にあった倉庫については、倉庫としての役割を終え、空き倉庫が目立ちつつある。しかし今、これらのいわゆる「ビンテージ倉庫」がコーヒーブームをきっかけに注目され始めているのだ。ビンテージ倉庫のイマを深掘りしてみよう。
ブルーボトルコーヒー上陸で注目浴びる
倉庫そのものの需要がメガ倉庫に移行している中、小さな倉庫には別の需要が生じてきている。一時期、空き倉庫が増えてきていたが、都心に近い倉庫が次々に用途転換され始めているのだ。最近話題になったのは、江東区の清澄白河にオープンした「ブルーボトルコーヒー」の日本1号店だ。
このブルーボトルコーヒーが清澄白河に与えたインパクトは大きく、現在では「オールプレスエスプレッソ」や「サンデーズー」といったお洒落なコーヒー専門店が次々と元倉庫街の清澄白河にオープンしていて、このエリアは今では「コーヒーの聖地」と呼ばれ、訪れる人も増えている。
メガ倉庫は広大な敷地を必要とするため、立地としては必然的に郊外となる。そのため、都心部の立地のいい場所に残っているのはビンテージ倉庫なのだ。これら倉庫は天井が高く、柱が少ないというのが特徴のため、用途転換を行うことによって、通常のオフィスビルでは出せない魅力的な空間を作り出すことができる。
スタジオにも用途転換することが可能でクリエイティブな若者達にもビンテージ倉庫は注目されつつある。このような倉庫の用途転換は、以前からニューヨークなどでは行われており、クールでカッコイイ空間として特に男性から強い支持を集めている。