【決算短信との比較】

アナリストレポートの読み方の前に、投資家に取って重要な情報収集法の一つである決算短信にも触れておきます。

そもそも株価は、その企業の現在の利益よりはむしろ 「将来の利益が今と比べてどうなるか、どのように予想するか」に依存 します。そのため、過去から未来への収益の変化率が大変重要になります。これについて、企業側から投資家に発表するのが決算というわけです。つまり 決算とは、「企業が1年間の収支を発表し、現在の財務状況と将来の予測値を明らかにすること」 と言えます。

普通は 四半期ごとに年4回、企業のホームページ上などで「決算短信」として発表され、企業の株価を左右する最大の要因と言われています 。「決算短信」は、損益計算書などの「財務三表」と経営者の「作文」、重要データの要約である「表紙」から成っており、特に表紙に含まれている内容は、投資家にとって見逃せません。

しかし今回、この決算短信だけでなく、 多少入手の手間をかけてもアナリストレポートも併せて読む事をお勧めするのには2つ理由 があります。

まず一つは 幅広く深い情報 が得られるため。
もう一つは、 客観的な情報 を得られるため。決算短信は会社のプレンゼンテーション資料であり、自社のアピール部分が強調されますが、アナリストによる第三者的分析であれば、客観性が(ある程度は)存在します。

まず最近、2つの証券会社がアナリストレポートを掲載した、クックパッド【証券コード2193】の表紙を見てみましょう。

いかがでしょうか。 決算短信の読み方を知っている方であっても、これを見るだけで投資判断はしにくい と思います。なぜなら、最も注目すべき「3.業績予想」に「売上高と営業利益は上回る見込み」としか記載されていないからです。前年度をどれくらい上回るのか、純利益はどうなのか、そもそもなぜ数字を開示しないのか…これらの疑問は、個人投資家では調べることは難しい内容です。とはいえ、投資するにあたって重要なファクターであるだけに、気になるところでもあります。