電力の自由化に向けて、新たな動きが相次いでおり、それは公共部門でも同じのようだ。民間部門では富士通やNTTデータが電力事業者向けにシステム開発や、新たなサポートサービスを打ち出しているほか、地方自治体も電力市場の自由化への対応に動き出しているのだ。
電力市場の自由化については、制度面での整備も背景で進みつつある。6月17日には、参議院本会議で、改正電気事業者法が可決、成立した。こうした動きで期待されるのが、電力分野への新規参入の促進や、電力会社の発電部門と送電部門を分割する「発送電の分離」で、実現に向けて動きだしている。
電力市場の構造的な変化を受けて、いつもは軽やかには動き出さない地方自治体も、電力事業者の支援を推進。そこで、地方自治体の電力事業者支援の動きをおさらいする。
PPSと一般利用者の距離は縮むのか?
政府は、電力事業の規制緩和を、「優れた技術を有する異業種の事業者の参入を促進することとなり、こうした新規事業者がエネルギー分野の顧客との距離を狭め、新たな価値を見つけ出して新市場を創造していく重要な契機となる」としている。
ただ、確かに、異業種事業者の参入は増えているが、6月に発表された共同通信社の調査結果によると、「電力小売自由化」という言葉の認知は進んでいるものの、詳しい内容理解についてはまだまだという側面もある。
すでに自由化している海外では、家庭用の小売市場の競争は進みにくいという結果も出ているだけに、日本における当面の課題は、消費者の電力小売自由化についての認知拡大だろう。
地産池消のエネルギーで図る地域活性化
地方自治体で動きだしているのは、PPSと呼ばれる特定規模電力事業者への支援だ。次第に自由化しつつある電力市場で、新たに登場してきている、新規参入組の事業者たちだ。