三越伊勢丹でも活躍

認識や分析の結果はクラウドサービスを通じて小売店の担当者などに提供される。具体的には、数時間~1日おきに自店舗の人流分析結果をチェックした担当者が、商品の陳列や接客の改善に役立てる。こうした同社の人流計測システムはすでに高い評価を得ており、その実例のひとつを三越伊勢丹 <3099> に見ることが出来る。

三越独自の全国お菓子セレクトショップ「菓遊庵」を訪れる顧客の店舗内体験を最大化することを目的に、三越伊勢丹とABEJAによる共同プロジェクトが仮説検証実験を行ったのだ。先進的テクノロジーを店舗レイアウトに活かすという日本で初めての試みで、その成果は売上向上に繋がる施策に繋がったという。

大量の記事を高精度で分類する「スマートニュース」

もう一つの例は「SmartNews」だ。日米両国で累計1000万件以上ものダウンロード数を誇るニュース閲覧アプリだ。開発元であるスマートニュースは、1日当たり1000万本以上のニュース記事を収集すると同時に、ディープラーニング技術の応用によって日本国内で400万以上、米国でも100万以上のユーザーに配信しているという。

スマートニュースが用いているのは、自然言語処理向けのニューラルネットだ。アプリの「SmartNews」は、独自に収集したニュース記事をニューラルネットにより解析し、記事の内容が「政治」「経済」「エンタメ」「スポーツ」など、あらかじめ定められた十数個のカテゴリーのどれに属するかを自動判定している。

ディープラーニングは、徐々にマーケティングの世界を変えつつある。しかも、そのスピードは日に日に増している。日本の、とりわけベンチャー企業が、こうした技術を武器に世界と戦うニュースが増えていくことも期待されている様子だ。(ZUU online 編集部)