発電
(写真=Thinkstock/Getty Images)

火力発電所などに用いられている従来の発電と比べ、飛躍的に効率良く発電できる「燃料電池」が注目されている。従来の発電は、エネルギー変換燃料を燃やした熱で水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回して電気を生み出す。これは燃料の持つ化学エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらにそれを運動エネルギーに変えてから、ようやく電気エネルギーを得ているわけだが、燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギーから直接電気エネルギーを得るため、ロスが大幅に少なくて済むのだ。


発電実験に成功したのは1839年

燃料電池という言葉からは、乾電池や蓄電池のような電気を貯める装置を連想しそうなものだが、本当は「水素と酸素のもつ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する発電設備」のことを指す。燃料電池の発電実験が初めて成功したのは1839年。何と今から176年も以前のことだ。

発電に必要なのは水素と酸素。酸素は空気中から取り入れる。「セル」と呼ばれる燃料電池の基本構造は、気体を通す「空気極」と「燃料極」の2枚の板が電解質をサンドイッチのようにはさんでいるだけ。いたって単純だ。

「燃料極」では、燃料の水素が触媒によって電子を切り離し、水素イオンになる。電解質はイオンしか通さない性質を持っており、「空気極」には水素イオンだけが到達できる。余った電子は、電極に付けられた外部の電線を通って「空気極」に行くしかない。ここで電子の移動、すなわち「電流」が発生する。


排出するのは「水」、環境にやさしい構造だが……

「空気極」では、酸素と電解質を通ってきた水素イオン、外部の電線を迂回してきた電子が作用して、「水」になる。つまり燃料電池が排出するのは、ただの水。こうしただけという、きわめて環境に優しい構造なのだ。

ただし、1つのセルが発電する電圧は、わずか0.7V程度。大きな電圧を得るにはセルを何十枚も重ねる必要がある。このため実際の燃料電池では、セルとセルを分離し、かつ「電池の直列」の要領で電気的につなぐ役割を持った「セパレーター」が用意される。


経済産業省も普及後押し

自動車向けの燃料電池は、東京都がオリンピックに向けて「燃料電池バス」の本格的な活用をうたうなど、実用化への動きが加速しているが、産業向けの据え置き型燃料電池についても、このほど経済産業省が規制緩和の方向性を打ち出した。

同省が来年度までに関係省令を改正するなどして規制緩和を狙う柱の1つは、設置の際の手続きの簡素化だ。これまで発電能力500kW以上の燃料電池を設置するためには、工事計画書などを国に提出し、2カ月ほどかかる審査を受けなければならなかった。しかし今後は、50kW以上2000kW未満の設備については、計画書の提出を不要にし、設置まで数日程度で手続きが済むよう手続きを簡素化する方向で検討している。

これまで発電時に強い圧力がかかるタイプの燃料電池では、近くに待機した人が24時間体制の監視しなければならなかった。同省は、技術が確立された300kW未満の燃料電池については、モニターなどによる遠隔監視を認めて事業者の負担を軽減させるなど、監視体制も見直す方針だ。

環境への圧倒的なやさしさを持つ燃料電池。かかるコストを下げ本格的に及させることは、「技術大国日本」に課せられた使命なのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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