◆介護用ロボットに関する利用意向の調査結果

同アンケート調査では、回答者に対して大きく2つの前提で利用意向を尋ねている。一つは「介護する側として」の質問(介護者側)であり、もう一つは「介護される側として」の質問(被介護者側)である。以降では「情報通信白書」に掲載されたそれぞれの結果を示し、検討を加える。

(1)「介護する側として」の利用意向

図表-1は、自身が「介護者」の立場に立った場合を想定した回答結果である。「全体」では「利用したい」が14.1%、「利用を検討してもよい」が49.0%であり、利用に前向きの意向である両者合計は63.1%となっている。

図表-1 介護用ロボット(介護する側として)の利用意向(年代別)

年代別に両者合計の割合を見ると、「60代以上」が68.6%と最も高くなっており、「50代」の67.0%が次に続いている。「50代以上」では、在宅での親の介護の問題が生じ始める時期に差し掛かるため、介護ロボットの利用に前向きな意向が高まる傾向にあると考えられる。

他方、「20代以下」や「30代」の若年世代においても、前向きの利用意向が6割前後と高い傾向にある。超高齢社会を迎え、近年、マスコミによる介護や認知症などについての報道や特集番組が著しく増えており、若年世代においても、介護ロボットへの問題意識が醸成されてきていると考えられる。

「同居人に65歳以上高齢者がいるか否か別」(図表-2)を見ると、予想されるとおり、「65歳以上同居家族あり」で「利用したい」が14.5%、「利用を検討してもよい」が51.3%と、利用に前向きである両者合計が65.8%に達している。他方、「65歳以上同居家族なし」においても、利用に前向きの割合が61.8%に達しており、その差は4.0ポイントしかない。

図表-2 介護用ロボット(介護する側として)の利用意向(同居人に

この2つの集計結果とも、世代別及びカテゴリー別で「利用を検討してもよい」とする割合が5割前後と高い。今後、介護ロボットの具体的なイメージがより正確に認知されてくれば、現在14%強の「利用したい」とする割合がさらに高まって来るのではないだろうか。しかし、総じて利用に前向きな利用意向が示されている点は、開発・普及途上の介護ロボットにとって極めて重要な調査結果でもある。この点については次章で考察を加える。

(2)「介護される側として」の利用意向

続いて「介護される側として」の集計結果を見る。図表-3は、自身が被介護者(要介護者等)と想定した場合の回答結果である。

図表-3 介護用ロボット(介護される側として)の利用意向(年代別)

「全体」では「利用してほしい」が15.1%、「利用を検討してほしい」が48.2%であり、利用に前向きの意向である両者合計は63.3%となっており、前項の「介護する側として」の利用に前向きの全体割合とほぼ同水準にある。

年代別に両者合計の割合を見ると、「60代以上」が69.5%と最も高く、「50代」が68.3%で続いている。利用に前向きの意向の合計は、「20代以下」の53.8%から、年代が高くなるに連れて階段状に割合が高くなっており、「介護される側として」想定する際も高い利用意向が示されている。

前項と同様に、「同居人に65歳以上高齢者がいるか否か別」(図表-4)を見る。予想されるとおり、「65歳以上同居家族あり」で「利用してほしい」が16.6%、「利用を検討してほしい」が50.0%と、利用に前向きである両者合計は66.6%に達している。他方、「65歳以上同居家族なし」においても利用に前向きの割合が61.9%に達しており、その差は4.7ポイントである。

図表-4 介護用ロボット(介護される側として)の利用意向(同居人

続いて同アンケート調査の「コミュニケーションロボット」の内容にも触れておこう。「コミュニケーションロボット」の一部機能として、高齢者などの見守りなどを想定して、アンケートに回答している可能性もあるためである。