店舗の改装がなかなか進まない理由

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ブラインドやクロスが汚れた店舗も(写真=筆者)

ある瞬間に店舗でゴミが放置されていることよりも、もっと重要な解決すべきことがあります。

それは、常に客の目に見えているところ、身体に触れているところをしっかりと見直すことです。店舗全体が古めかしくないか。テーブルはグラついていないか。壁のクロスはすすけていたり、はがれたりしていないか。トイレは清潔か。床や階段にべたつきはないか——。

そこを見直すべきなのです。スタッフにとっては見慣れた店、設備のため、こうした点は見過ごされがちです。それは統括するスーパーバイザーのような役職の人も同じです。こうした点は改善されず、来店客も「なんとなく気分が悪い」と、はっきりとしない不快感を覚えるので、リピート率は下がってしまいます。

「店舗投資への加速」をうたったものの、プランで年間500店改装するとしたうち上期はわずか27店で終了。2015年中に閉店予定131店舗の内、上期に閉店した店舗はゼロでした。もともとマクドナルドは約7割の店舗がFCです。改装費用は原則FCオーナー負担です。いくらリカバリープランで貸付制度があるとはいえ、売り上げ減で苦しいオーナーたちが積極的に改装に応じるはずがありません。


どんな客に来店してもらいたいのか分からない

顧客視点で顧客の満足度を高めるために、会社として何をなすべきなのか。それは客が入りたいと思える店舗をつくることなのです。

本部直轄店とFC店との格差、あるいはFC店同士の格差に開きがあり、くつろげる店とそうでない店の差が激し過ぎます。誰に楽しんでもらいたいのかも不明確です。

たとえばファミリー層の来店は他のどのチェーンよりも多いはずなのに、2人掛け、4人掛けの席は減り、1人掛けの席が増える傾向にあります。1人掛けの席が増えているのは他のファストフードチェーン店、コーヒーチェーン店も同じです。勉強する学生や仕事をするサラリーマン、OLが多いので当然の対応なのですが、PCやスマホ用の電源がとれなかったり、差し込み口が使用不可になっていたりします。

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1人掛けの席が増えているが……(写真=筆者)

これは、2人や4人のグループで来店して長居されるよりも、1人で来てPCもスマホも操作せずに、さっさと帰る客を優良顧客と見ているということなのでしょうか。

明日から10月です。秋の新作、食材を変えた「月見バーガー」の出す9月の数字を、40年来のマックファンの著者は楽しみにしています。

大ナギ勝
ムービングオフィス代表、一般財団法人ニッセンケン品質評価センター アドバイザー。青山学院大学法学部卒業後、高級婦人服ブランドを日本一売るレリアン入社。営業部、企画部、バイヤー兼MDを経て、宣伝部へ。女優・天海祐希さんを起用した同社では30年ぶりのTV CMでは制作担当責任者とし、企業ブランドを新たに確立。システム情報部の責任者も務める。2013年独立。著書に『商品よりも「あと味」を先に売りなさい』(日本実業之出版社)『言葉の選択』(秀和システム)がある。

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