(写真=PIXTA)
欧米大手保険グループの海外における生命保険事業展開はどのような状況(規模・収益)にあるのか
欧米の大手保険グループは海外での生命保険事業展開を積極的に進めている。このレターでは、各社の地域別の保険料や営業利益等の実態がどのような状況にあるのかを2014年度末のAnnual Report等に基づいて報告する。
以下の報告においては、例えば保険料の地域別内訳のベースが各社毎に異なっていたり、地域区分の考え方も各社独自の方式によっている等、各社の公表データのベースが必ずしも統一されていないため、厳密な意味での各社間の比較等を行うことはできないが、筆者の判断で一定の前提をおいて、比較可能な数値を作成して分析を行っている。
欧州大手保険グループの海外進出状況-各社間比較-
ここでは、欧州の大手保険グループ各社の海外進出状況の比較を行うために、保険料と営業利益の地域別分布状況を見てみる(*1)。まずは、保険料の状況を見てみる。ここでの保険料の数値には、ユニット・リンク等の投資型保険からの収入が反映されていないが、会社間の規模や地域間の分布状況を見るための1つの基準として採用している。
これによれば、各社毎に状況は異なっているが、各社とも自国以外からの保険料が一定の規模を有してきている。AXAは米国とアジア・太平洋での保険料の構成比が10%を超えている。Allianzは自国のドイツでのウェイトが高いが、ドイツ以外の欧州が25%の構成比を占めている。Generaliはイタリアに加えて、イタリア以外の欧州での構成比が高い。Prudentialは米国とアジアの構成比が高く、自国の構成比は22%でしかない。
次に、営業利益の地域別内訳を見てみる。大きくは、保険料と傾向は変わらないが、営業利益ベースでは、AXAにおいては米国とアジアの構成比がさらに高くなっており、これら2つの地域で45%を占めている。Allianzにおいても、米国の構成比が20%と高くなっている。
このように営業利益ベースでみると、米国とアジア・太平洋の位置付けがさらに高まる傾向が見られる。なお、Prudential以外の3社においては、自国以外の欧州の営業利益がほぼ自国と同程度かそれ以上となっている。