北米大手保険グループの海外進出状況-各社別-

北米の大手保険グループもアジアや中南米等を中心に海外展開を積極化させている。欧州の大手保険グループと比較して、公表されているデータが限定されているが、各社のAnnual Report等によれば、以下の通りとなっている。

◆MetLife

保険料及び営業利益(税引後)で見ると、北米の構成比が7割程度と圧倒的に高いが、北米以外のアジア、中南米、EMEA(欧州・中東・アフリカ)も約1/3(アジアで2割弱、中南米で1割弱)を占めている。

保険事業の地域別別内訳(2014年度)metlife

◆PrudentialFinancial

Prudential(米国)は、地域別ではなく、事業種類別のセグメントに基づいた数値を開示している。これによれば、国際保険セグメントが保険料及び営業利益ともに約5割程度と高い構成比になっている。

保険事業のセグメント別内訳(2014年度)metlife


まとめ

以上、欧米の大手保険グループの海外事業展開の状況を見てきた。各社の海外事業展開の方針等は必ずしも一律ではなく、各社毎に重点を置く事業種類等も考慮した上で、地域選定等に特徴を有した形になっている。その中には、積極的に海外進出するだけでなく、一旦進出した地域からの事業撤退等を行うケースも含まれている。

ただし、各社とも、米国・日本・欧州の自国以外の保険先進国への進出を通じて、自国以外でも一定規模の収益を確保してきている。特に、ここで取り上げた保険グループでは、Generaliを除いては、各社とも米国での一定のプレゼンスを有し、高い収益を上げてきている。

さらには、これらの地域に加えて、アジアや中南米等での展開を積極的に進めることで、収益機会を拡げてきている。今後の欧米大手保険グループの海外事業展開の動向については引き続き注視していくこととしたい。

(*1)地域区分は基本的に引受会社の所属国に基づいている。
(*2)欧州大手保険グループは、EEV(ヨーロピアンEV)とMCEV(市場整合的EV)のいずれかに基づくEV(Embedded Value:エンベデッド・バリュー)を公表している。

中村亮一
ニッセイ基礎研究所 保険研究部

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