「最寄りは無人駅 学生街で40年」恵文社 一乗寺店

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(写真=ZUU online編集部)

京阪電鉄出町柳駅から叡山電車に乗って5分ほどで3つ目の一乗寺駅に着く。無人駅で駅前はのどか、和菓子屋やスーパーなどが並ぶ道を西へ少し歩くと、手書き看板とレンガ壁のナチュラルな外観が街の風景にすっかり溶け込んだ「恵文社 一乗寺店」がある。

創業は1975年。当時から地元に大学が多く、学生達に読んで欲しい本を揃えたいと考えたオーナーが、自ら仕入れて販売していたのがこの本屋のルーツだそうだ。そのポリシーを受け継ぎ、進化させつつ現在の店がある。

通りに面した窓からほどよく外光が入る店内、自然光と大ぶりの白熱照明が書架や本や文具などに優しさやと和やかさを与えている。アンティークな家具を利用した陳列什器の合間をゆったりと動くお客さんもすっかり店内の風景に同化している。

芸術を学ぶ学生が多かったため、従来からデザインやアート、サブカル系の本や哲学などが充実していたが、文学、衣食住などのジャンルも「恵文社一乗寺店」視点で選本されてそろえられている。いまや老若男女を問わず共感した人たちが集まってくる。

生活雑貨をそろえるコーナーや、イベント、ワークショップを開くスペースも隣接しており、本との出合いをきっかけに街を育み、ライフスタイルやカルチャーを真摯に提案していきたいという店の想いが感じられる。

全国からわざわざ足を運ぶ人も多い両書店は、趣こそ異なるが、従来の取次会社、配本などの仕組みにとらわれることなく独自の視点で店のメッセージを伝えているのが共通点。また物販だけでなくイベントなどの「コト」にも半端なく力を入れている。

日常生活で疲れ、「心の安らぎを求めたい、知的好奇心を満たしたい」と言った欲求に応えてくれるサードプレイスとして、新たな生活様式や文化を生み出す、刺激に満ちた空間としての可能性が感じられるだろう。

「本+α」は今後さらに広がりを見せ、「新たな書店のスタンダード」として全国で生まれていくのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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