投資を始めるのに「早い」も「遅い」もない

「こんなに株価が上がってしまったあとで投資を始めると、損をするのでは?」と思っている人もいるかもしれない。だが松本氏は、「『いつ始めるか』という議論はナンセンスだ」と指摘する。

「投資は未来の話です。過去にやっていたかどうかは関係ありません。今日初めて株を買う人も、同じ株を2年前から持っていて、売らずに今日も持っている人も、訪れる未来は同じなのです。

マーケットでの価格は、さまざまな情報や人の思いをすでに織り込んでいます。『これから業績が良くなる』とみんなが思う会社の株は、これから上がるのではなく、その時点でもうすでに上がっているのです。これから上がりそうな相場や、下がりそうな相場というものは、理論的にあり得ません。だから、いつ投資を始めるかは重要ではありません。

それよりも大事なのは、世の中の大きなトレンドを見逃さないこと。確実なトレンドは、地球全体の人口が増加しているということです。人口が増えることはインフレ圧力になる。需要が増えて、それによって物価が上がるからです。

『世界がインフレ基調にある中で、日本は人口が減る』ということは、日本の通貨が強くなるとは考えにくい。ですから、長期的に見れば、外貨建ての資産を持つほうがリスクヘッジになるはずです。

こうした世界のトレンドを正しく捉える目を養うためにも、ぜひ、1万円の投資信託10個の勉強から始めてほしいと思います」


[COLUMN]「銀行預金だけ」は「子供10人全員国家公務員」ということ

現在、資産はほとんど銀行預金だけという人もいるかもしれません。

「株の銘柄選びは、10人の子供の就職先選び」というたとえ話をしましたが、このたとえで言うと、全資産を銀行預金で持つということは、10人の子供全員を国家公務員にしているということになります。

というのは、金融緩和が進む中で、銀行はどんどん国債を買っているからです。銀行に預金をすると、国にお金を貸していることになるのです。

あなたは、10人の子供全員を国家公務員にしたいと思うでしょうか?「何人かは将来性のあるベンチャー企業で頑張ってほしい」とか、「米国や中国にも何人か行かせて、そこで働いてもらいたい」と考えるのではないでしょうか。

松本 大(マネックス証券代表取締役社長CEO) (取材構成:塚田有香 写真撮影:江藤大作)
(『 The 21 online 』2015年8月号より)

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