(写真=PIXTA)
「可以用銀聯(銀聯カード使えます)」。ドラッグストアの店頭で「免税」に加えてこのような文言が見受けられるようになって久しい。中国人の爆買いによって日本での知名度が急速に上がった「銀聯カード」について、中国のクレジットカードと認識している人も多いかもしれないが、実はデビットカード(預金に紐付けられた即時決済カード)であり、クレジット機能付きのものもあるという少々ややこしいものである。
これには中国独自のお財布事情が関係している。「銀聯カード」の驚くべき実態、そして今後の「チャイナリスク」について、中国在住ライターの視点から紹介していきたい。
ホワイトカラーは2〜5枚所有
中国国家外為局は9月30日、銀聯カードの海外での年間出金額に、年内は5万元まで、来年から10万元までという制限を加えると発表した。国慶節直前のタイミングであったため、「海外での爆買いを抑制するためか」とも思わせたが、実際はマネーロンダリングや金融リスク予防のため、ということらしい。国内にいられなくなった悪徳役人や商人を締め上げる効果も狙っているのだろう。このように政策手段としても有効なほど普及している、という影響力の大きさには驚かされる。
中国ネット「百度知道」(Yahoo!知恵袋に近いもの)のベストアンサーによると、「銀聯カードはクレジットカードに属するが、銀聯カードの全てがクレジットカードというわけではない」としている。とにかくデビット、クレジット付き、そのどちらも銀聯カードと呼ぶことが混乱を引き起こしている。
銀聯カードに対する認識を現地の労働者に聞くと、ブルーカラーとホワイトカラーで異なっていた。工場で働く、まず海外旅行することなどなさそうな労働者階級の中国人は「銀聯カード」は給与受け取り口座に付随するデビットカードと認識している。国内で口座残高以内の買い物に使う。