なし崩し的にクレジット機能が付与される
そのうち「翌月決済日の一括引き落とし」が 銀聯カードの一部で提供され始めた。国際クレジットカードを持つ人などまだほとんどいない頃、この機能は 中国人にとってクレジットと同じように映った。発行元の銀行は「翌月決済日の一括引き落とし」 が有効であることに気付き、こぞって 機能を強化していく。やがて本物のクレジット機能を付与し、VISA、Masterなどとの提携カード発行にまで進む。 進化に応じて利用額は急増していった。
いずれもなし崩し的に起こったことなので明確に何年何月からと線を引くのは難しい。こうした独自の経緯から専門家の解説も混乱しているわけである。
懸念される与信過剰リスク
銀聯カードの全世界発行枚数は50億枚を超えた。そこで気掛かりなのは、大部分を占める中国内発行カードの過当競争による与信過剰である。
月収の5倍、10倍もの限度額はいくら何でも高すぎはしないだろうか。大手商業銀行「中信銀行」の女性支店長によると、信用事故は即刻、人民銀行(中央銀行)の「個人征信系統」で業界周知される仕組みがあり心配ないという。事故債権を代行する会社も多い。
彼女は「私の支店では信用事故はほとんど起きていない、銀聯カードの未来はバラ色だ」と明るく話してくれた。確かにこれまではそうだったろう。それに銀聯プラスVISA、Masterなら、英語と中国語が話せる人のようなもので最強の組み合わせには違いない。
問題は景気減速、低成長へと陥る可能性のある今後である。何しろ2002年の設立以来、不況を経験したことがない。予想される信用事故の多発を含め、踊り場経済に対応する備えができているかどうか。銀聯カードがその真価を問われるのは、どうやら来年以降になりそうである。(ZUU online 編集部)