大金
(写真=PIXTA)

排ガス不正問題に揺れるドイツ自動車大手フォルクスワーゲンが、前CEOマーティン・ウィンターコーン氏に対し多額の退職金(退職慰労金)を支給する可能性が指摘され波紋を呼んでいる。

同社の規定では、任期満了前に辞任する役員は無過失の場合、2年分の報酬を受け取ることができるとされている。これに2014年末時点で時価2860万ユーロの年金資産を加えれば、同氏は6000万ユーロ弱(約80億円)の退職金を手にする計算となる。

最終的に同社の監査役会が過失の有無や程度を判断し退職金額を決定するが、不祥事の責任をとって辞任した経営トップが多額の退職金を得ることになれば違和感を覚える人も多いだろう。


「退任時の報酬月額×在任年数×役職倍率」が一般的

取締役が報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益は、会社法第361条第1項による。定款の定めのない場合は株主総会が決定する。退職慰労金(従業員に支給する退職金と区別するためこう呼ぶ)も報酬等に含まれるため、通常は株主総会決議に従い支給される。

多くの会社では、退任取締役1人ごとに対する具体的な支給額ではなく、会社法第361条第1項第2項の「具体的な算定方法」を定める退職慰労金規程を決議している。規程の算定式は、「退職慰労金=退任時の報酬月額×在任年数×役職倍率」とするケースが一般的だ。取締役会は規程に基づき支給日、支給額、支給方法(一時金、年金等)など具体的な内容を決定する。

会社は実際の支給額を試算できるようにするため、株主に対し退職慰労金規程を提示する必要がある。株主総会参考書類に記載したり、書面を本店に備え置いたりすることが求められる。