会社が訴えないなら株主が退任取締役を訴えられる

会社が重大な損害を与えた退任取締役を訴えないとき、株主は会社法第847条第1項により会社に対し責任追及の訴訟提起を請求できる。それでも会社が60日以内に訴えなければ、株主が原告となる株主代表訴訟に踏み切ることが認められている(同第3項)。

会社への訴訟提起の請求や株主代表訴訟は、6カ月間継続して株主の地位にあれば誰でも実行できる(非公開企業の期間制限はない。公開企業も定款の定めにより期間短縮が可能)。

また原告が直接利益を得る裁判ではないため、訴状に貼る収入印紙は1万3000円で済むほか、勝訴した場合には裁判費用と弁護士報酬の相当額を会社に請求できる。


退職慰労金を削減できる規程整備が重要

多くの企業の退職慰労金規程には、慰労金の不支給、減額、返還に関する具体的な条件が定められていない。取締役に対し長期的な視点から経営を行うインセンティブを与えるためにも、これらを具体的に規定することが望まれる。

明確な法令違反・不正行為がない場合、任務懈怠を理由に退職慰労金の不支給・減額を決定したり、返還等を求めたりすることは困難だ。

たとえば多額の設備投資の決定に加わった取締役の退任後に経営環境が変化し過剰設備を抱え込むことになった場合、その経営判断プロセスが合理的なものであれば結果に対する法的責任を追及されることはない(経営判断の原則)。

しかし判断を誤ったことは事実であり、その責任を果たさせるために退任後の業績に連動して退職慰労金を削減できる仕組みを整備する意義は大いにあるだろう。

不祥事を起こさなければ報酬削減の心配はないという制度は、経営者を甘やかすはずだ。 (ZUU online 編集部)

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