◆ユーロドルレート

◇10月の動き

月初1.11ドル台半ばからスタートし、月末は1.10ドル台前半に。月初に1.11ドル台半ばでスタートした後、冴えない米雇用統計を受けたドル安で、5日に1.12ドル台前半に。以降も米利上げ観測後退を受けてユーロが買われ、9日には1.13ドル台後半に。

さらに株安を受けたリスク回避的なユーロ買いもあって、14日には1.14ドル台に到達。その後、1.13ドル台での高止まりが続いたが、ドラギECB総裁が追加緩和の可能性を示唆したことで、23日にユーロが1.10ドル台へと急落。米FOMCでのタカ派的な声明を受けた29日には1.09ドル台を付ける。月末は若干戻し、1.10ドル台前半で着地。

◇当面の予想

今月に入り、米12月利上げ観測が高まったことで、追加緩和を視野に入れるECBとの政策格差が際立ち、足元は1.08ドル台後半にまでユーロ安が進んでいる。

ECBの12月緩和は既に相当織り込まれていると見るが、今後はさらに意識されやすくなり、ユーロドルは月末にかけて下落しやすい地合いが続くだろう。ただし、ドル円同様、目先のカギは本日夜の米雇用統計となる。市場予想に大きく届かなければ、利上げ後ずれ観測に伴うドル安圧力によって、一旦ユーロが買い戻される展開も。

金融市場の動き9

上野剛志
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

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