金融市場(10月)の動きと当面の予想

◆10年国債利回り

◇10月の動き

月初0.3%台前半からスタートし、月末は0.3%に。月初、日銀追加緩和観測の台頭と雇用統計悪化を受けた米利上げ観測の後退によって、先月末の0.3%台半ばよりもやや低い0.3%台前半での推移に。以降、同水準での低迷が長らく続く。

23日にはECB総裁による追加緩和の可能性示唆を受けた欧州金利低下の余波を受け、0.3%を付ける。その後、28日には日銀会合を間近に控えて追加緩和観測が高まり、0.2%台後半へ。月末にはFOMC声明文を受けた米利上げ観測の高まりや日銀決定会合での追加緩和見送りを受けて、0.3%を回復。

◇当面の予想

今月に入り、株価上昇などから若干上昇し、足元は0.3%台前半で推移している。最近の長期金利は、下は債券価格の高値警戒感によって、上はタイトな需給によって押さえられ、極めて値動きが限定的な状況が続いている。タイトな債券需給に当面変化は予想できず、長期金利は0.3%台での推移を予想する。

そうしたなかでの変動要因は海外の長期金利となる。年内利上げ観測の動きを受けた米金利上昇が上昇圧力に、追加緩和観測に伴う欧州金利の低下が低下圧力になる。前者の影響が勝ると考えるが、当面の金利上昇余地は小さい。

金融市場の動き7

◆ドル円レート

◇10月の動き

月初120円台前半からスタートし、月末は120円台後半に。月初、米雇用統計は悪化したが、利上げ観測後退に伴うリスクオンの円売りもあり、120円近辺の水準を維持して推移。その後、米小売指標やベージュブックの弱い内容を受けてドル売りが強まり、15日には119円に。しばらく119円台前半の推移となったが、貿易収支の赤字を受けて21日に119円台後半に回復。

その後、ECB追加緩和観測の高まりや中国の利下げを受けたリスクオン、ドル買いによって26日には121円台を付ける。月末には日銀の追加緩和見送りで円買いが強まったが、補正予算を巡る報道を受けたリスクオンの円売りが吸収し、120円台後半を維持した。

◇当面の予想

今月に入り、イエレンFRB議長が議会証言で12月利上げの可能性に言及したことで、足元は121円台後半に上昇。米国の12月利上げ有無が為替市場の最大の焦点となる中で、その前提条件が整うか?今後2回の雇用統計結果が極めて重要になる。まずは本日夜の10月雇用統計結果が試金石となる。10月FOMC声明文を見る限り、FRBは12月の利上げへのこだわりを見せているため、雇用者数増が市場予想の18万人強(Bloomberg集計)程度を確保すれば、利上げ期待が高まることで122円台半ばまでドル高が進むと予想。

ただし、強すぎる場合は利上げ観測の急拡大で株価が崩れ、リスク回避の円高というシナリオも。逆に、弱すぎる場合はドル安に振れることになるが、利上げ後ずれ観測に伴うリスクオンの円売りが円高進行を抑制するだろう。

金融市場の動き8