6年連続で下落していた砂糖の価格が6月頃からゆっくりと上昇。8月以降は39%増というリバウンドモードに突入し、2011年以来最大の高騰を見せている。価格上昇の背景には大手ヘッジファンドの"価格つり上げ"がからんでいるようだ。


価格と需要が結びついていない不自然な高騰

タイやインドにおけるサトウキビの過剰収穫、レアルの弱化によるブラジルの輸出増などが需要と供給のバランスを崩し、激しく落ち込んだ砂糖の価格。7年目の下落に突入するかと予測されていたが、ここ数カ月で不自然な高値を見せている。

中国からの需要は1月から9カ月間での55%増(375万トン)。シンガポールの貿易業者は今年に入ってから既に10億ドル(約1232億399万円)相当の粗糖取引を、アジア圏内で行っているという。粗糖とは、加工段階にある砂糖の一種。

こうした精製砂糖の需要の高まりにともない、精製業者による粗糖の購入量が増加しているとはいえ、急な値段の高騰と実際の需要が結びついていないことから、何らかの意図的な操作が作用していることは明らかだろう。


大手投資ファンドの砂糖買収競争

価格上昇の表向きの理由として、過去5年間で初めて生産量が需要を下回ったこと、新興国の景気持ち直しを期待させるデータが出回ったことで、レアルやルピーがドルに若干の反発を見せたことなどが挙げられている。

しかしそれに拍車をかけるように、大手投資ファンドがこぞって砂糖買収に乗り出していることも大きく影響している。

米ヘッジファンド、チューダー・インベストメント・コーポレーションやD.E. ショウ&コーポレーションなどは、今年初頭から粗糖の40%を輸出しているブラジルの通貨が弱まったことに目をつけ、砂糖価格のつり上げに加担している。


在庫過多で価格は再び落ち込むと予測

しかし9月末時点で砂糖の在庫(8540万トン)が昨年を上回っている(8320万トン)ことから、専門家の中では「砂糖の価格が2年以内に再び下落する」という見方が強まっている。

この数字は「世界中の砂糖需要を6カ月間は余裕で満たせる量の砂糖が眠っている」ことを示しており、多少生産量や収穫量が落ちたとしても、「砂糖不足になる可能性が極めて低い」という。

ヘッジファンドの中にはそれを見越して既に退却準備に入る動きも一部で見られている。ニューヨークを拠点に事業を展開しているブライアーウッド・キャピタル・マネージメントのフレッド・シュッツマンCEOは「砂糖は我が社の金のなる木だったが、価格が再び下落する前に撤退する準備は整っている」と、今後の市場価格の変動に注意を怠らない姿勢を示している。 (ZUU online 編集部)

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