ノルマなしで業績を伸ばして成長している企業も
メガネ・コンタクトレンズ販売店「メガネ21」を運営する21(トゥーワン、広島市)は人事制度に破壊をもたらした企業として知られ、ノルマもない。
なぜかといえば、「ノルマを与えるとお客様の要望より上司の要望を優先するから」という。さらにいえば、店単位の売り上げ目標もないという。「店単位の売り上げ目標や売り上げ予算は最終的に個人のノルマになるから」というのが理由だ。
また電気設備資材や給排水設備などの製造販売を行っている未来工業(岐阜県輪之内町)はノルマも残業も、上司へのホウレンソウ(報告、連絡、相談)も禁止している。上司が部下に命令をすれば降格になることもあるといい、時流に反して成果報酬などなく、基本は年功序列だという。
その狙いについて創業者の故・山田昭男氏は講演などで、「(昔は)年功序列でノルマもなければ成果主義もなかった。ところがバブルがはじけたころから非正規(雇用社員)がいっぱいでてきて、ノルマができ、成果主義が導入された」と指摘。製造業の多くがリコールを発生させているとしたうえで、「こんなに不良品が出るようになったのも非正規が増えたから。非正規の人間はクビになるから技術を覚えません」などと述べ、ノルマや成果主義を否定している。異論もあろうが、同社の制度が評価され、業績が好調なのも事実だ。
功罪あり、賛否両論分かれる
売上高や利益などの目標で“厳しいノルマ”を課してきた東芝。不適切な会計処理が行われた理由の1つにこの厳しいノルマが指摘されている。
目標が達成できない時に厳しい罰を受けると思えば、人間は罰を避けるため“だけ”に努力する。目的が「罰を受けないこと」に変わってしまう。自分のノルマ達成のためだけに動き、会社全体の利益に対しては目が向かなくなる。「上司に逆らえない」という心理作用も働くだろう。
前出の孫氏が率いるソフトバンクグループでも、販売会社に対して課した携帯電話の契約ノルマの査定方法が厳しすぎ、話題になったことがある。
ノルマには功罪ともにあり、賛否両論あることは間違いない。「ノルマがないと人はサボるもの」という考えも正しいかもしれないが、それは管理する上司がそうだったからかもしれない。ノルマなしでも頑張る社員を採用し、ノルマなしでも成果を出せる仕組みや雰囲気をつくること。信じて任せ、適切に評価することが、会社や管理する上司の側に求められることではないだろうか。
一方的な押し付けではなく、自発的で前向きな達成目標であることが、社員が能力を発揮し、結果につながるノルマ・目標設定の前提といえそうだ。 (ZUU online 編集部)
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