専属エージェントを中核基盤としつつ、その他の販売チャネルを拡大

3社は固有の強みとして、地場企業の知識・能力水準を超える専属エージェントを販売チャネルの中核として重視し、時間をかけて育成・強化しており、高収益な商品を安定的に販売できる重要な基盤を構築している。

そのベースの上に、バンカシュアランス(銀行チャネルによる販売)やダイレクト・マーケティング等による販売網を拡大しつつある。新規販売チャネルにおいて重要度を増すバンカシュアランスでも、有力な銀行との間の提携関係を有している。

とりわけ、プルデンシャルと英スタンダード・チャータード銀行(Standard&CharteredBank)、AIAとシティバンク(Citibank)、マニュライフライフとDBS(シンガポール開発銀行、アセアン最大の銀行)というアジア域内の各市場を対象とする包括的な提携(次項で述べる地域本部が主導して実施と推量)はその典型的な事例である。


地域本部やグループ内企業と各国の拠点間の有機的な関係

アジア事業に関する組織機構は、アジア地域本部(アジア太平洋地域のみで営業するAIAの場合はグループの本部拠点であるが、以下では「地域本部」と総称する)と各国・地域の拠点という構成になっている。地域本部の所在地は、いずれも香港である。

地域本部の機能は企業(グループ)全体としての目標・方針の明確化、IT等バックオフィス業務や資産運用の標準化・集約化による効率化であり、「グローバル標準化」と「現地適応化」のあり方が重要なポイントになる。

図表-3はプルデンシャルの事例であるが、地域本部とグループ企業(資産運用等)による各国拠点への支援のあり方が、具体的に示されている。

アジア域内における事業の目標や戦略の決定、資本配分や業務成績の近代的な管理、商品開発・販売網構築や育成の支援、IT・統合的なバックオフィス業務の実施やサポート、域内全体を単位とする事業の遂行(包括的な銀行との事業提携など)、上席者を中心とする人材の管理等について、グループ全体でのシナジー効果による付加価値がもたらされていると考えられる。

地域本部・拠点間の人事交流により、業務上のノウハウ・スキル・人脈などが相互に伝えられることになり、人材の育成にも寄与する。またアジア拠点の責任者であるCEOは、親会社の上席役員を兼務しており、親会社とアジア地域本部・拠点の連携がうまく機能する仕組みにもなっている。

同様の拠点連携や人的交流、知の共有は、3社に共通している。上記の様な体制整備が出来て効果を挙げられる理由は、各地に多くの拠点を保有することによって、規模の利益や範囲の利益を追求し享受しうる環境にあることが大きいものと考えられる。

以上に加えて、3社は、自社の国際的なネットワークを活用して、商品開発や販売網構築、再保険手配、資産運用、事務・ITや顧客対応などについて、欧米を含めたアジア域内外の優れた手法や人材を効果的に投入・実施したり、規模の利益やリスクの分散効果を享受できるという強みを有する。

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