企業活動に必要な人材を育てたり、惹きつけたりするのに必要な国ごとの能力を測定した「IMD World Talent Report(世界人材調査) 2015」が発表され、日本は昨年の28位から順位を2つ上げ、61カ国中26位であることが分かった。評価の細目をみると、 「優秀な人材確保」では世界1位となったものの、 「海外経験のある敏腕のマネージャー」が61位、「大学」が57位、「語学力」も60位と著しく遅れをとっている実態も浮き彫りとなっている。

この調査はスイスの国際経営開発研究所(IMD)の世界競争力センターが行ったもので、各国が「国内人材の開発」と「国外人材の誘致」のバランスの取れた政策の実施を通じて、企業活動に必要な人材を惹きつけ、育成し、保持する能力をどの程度保有しているかを測定したものである。

日本は、人材への「投資と育成(investment and development)」で17位、人材に対する「魅力(appeal)」では15位となった。一方、受け入れと活用に向けた「準備性(readiness)」では順位を落とし49位となった。

首位のスイスを筆頭に、上位9位までは欧米勢が占めている。アジアから唯一トップ10入りしたのはシンガポール(10位)。次いで香港、マレーシアが20位以内に。

昨年のランキングから大きな変動を見せているのは、昨年の31位から55位に転落したウクライナだろう。インドネシアは35位から41位に、マレーシアは5位から15位、アイルランドは6位から16位に格下げされている。逆に大幅な上昇を見せたのは49位から38位にランクアップしたスロベニアである。ルクセンブルクは10アップでトップ3入りし、香港(12位)、韓国(31位)がそれぞれ9ランクアップしている。

国内で人材を育成する一方で、海外から優秀な人材をバランスよく確保しているスイスのような国が、2015年の総合結果で「優秀な人材のパフォーマンス」で高スコアを得ている。

ランキング上位は欧州勢が独占しており、アジアトップは、シンガポールとなった。では上位20位のランキングを以下に紹介したい。

ランキング結果(上位20カ国) 9位まではヨーロッパ

1位 スイス
2位 デンマーク
3位 ルクセンブルク
4位 ノルウェー
5位 オランダ
6位 フィンランド
7位 ドイツ
8位 カナダ
9位 ベルギー
10位 シンガポール

11位 スウェーデン
12位 香港
13位 オーストラリア
14位 アメリカ
15位 マレーシア
16位 アイルランド
17位 アイスランド
18位 ニュージーランド
19位 オーストリア
20位 アラブ首長国連邦

評価方法 30もの評価指数

評価項目は「投資と育成」「魅力」「準備性」の3つのパネルに分かれており、それぞれ8~12の詳細から構成されている。

「投資と育成」の主な詳細は「教育公共資金」「生徒と教師の比率」「徒弟制度」「社員教育」等、「魅力」は「生活費」「仕事のやり甲斐」「生活の質」「外国の技術者」「頭脳流出」「個人保証と私有財産の権利」等、「準備性」は「労働力の成長率」「技術職」「海外での経験」「(学校・大学・会社での)教育システム」等が評価基準となる。