中国経済

(写真=Thinkstock/Getty Images)

今年1年、日本も世界もつくづく中国に振り回された。世界経済をけん引する機関車だった中国は、今や波乱要因と化した。しかし指導部は現状を取りつくろうばかりに見える。本当に「新常態」へのソフトランディングは可能なのだろうか。

日本でも注目された2015年の中国経済関連ニュースを、中国現地での報道ぶりや世界への影響力も考慮しながら10項目ピックアップしてみた。今年を振り返りつつ考えてみたい。

10位 PM2.5大幅基準値超え続く

華北地区では冬になると各家庭に「暖気」と呼ばれるスチームの供給が始まる。供熱会社が大量の石炭をたくため、大気汚染がより深刻になる。スマホアプリでPM2.5濃度をチェックする生活が一般化してもう3年になった。改善の見られる地域もあるが、北京や東北3省では今年も大幅な基準値超えが続いている。政府方針のようにエネルギー効率の悪い古い工場を閉鎖するしかないだろう。産業構造の転換にも寄与する。COP21で発表した改善目標に向け早速行動を起こさねばならないだろう。

9位 天津大爆発事故

8月12日の天津濱海新区での大爆発事故は、死者173人、経済損失は推計730億元に及んだ。当局との癒着、ずさんな安全、労務管理、当局による情報統制など、中国かかえる深刻な問題点が白日の元にさらされた。責任者は逮捕されたものの、どのように総括がなされたのか未だよくわからず、犠牲者は浮かばれていない。また夏季に限っても全国の化学工場で10件に及ぶ爆発事故が報告されている。

8位 双11(独身の日)ネット通販爆売れ

馬雲(ジャック・マー)の率いるアリババ集団が仕掛けた11月11日の24時間ネットセールは、2011年の売上33.6億元から、今年は912.17億元(前年比160%)となり5年で27倍にまで成長した。ジャック・マーは、インターネット技術、データ処理能力、物流、サービスの各方面で、中国の優れた商業基盤に世界が驚かされた。記念すべき日になったとしている。ファーストリテイリング <9983> は6億元を売上げ、全体4位にランクインした。

7位 海外での爆買い続く

日本の流行語大賞にも選ばれ、もはや多言を要さない。中国のネット上では日中製品の品質差に関する議論が沸騰しているが、ついに最高指導部の政治局常務委員まで、これに言及した。

6位 不動産市況、回復の兆し

中国指数研究院11月30日発表の全国100大中都市の不動産価格指数を見ると、7月までは前年同月比マイナスが続いていたが、8月からプラスに転じ、11月は2.93%増となっている。

地方政府の行った頭金条件の緩和などの市場刺激策が効いてきたようだ。ただし回復しているのは北京、上海、深センなど巨大都市に限られる。中国人は最重要資産である不動産への関心が極めて高く、地元紙の選ぶ「当市の年間10大ニュース」は例年、不動産関連ニュースが過半を占める。

5位 次期5カ年計画はGDP6.5%必要、実現は可能か

5中全会から1週間後の11月上旬、習近平主席と李克強首相は相次いで、次期(第13期2016~2020年)5カ年計画では、GDP成長率6.5%が必要、と発信した。それに対し「目標ではなく推定である」などと実質引き下げを模索する動きが続いている。実務者たちは実現不可能と認識しており、自らのクビもかかっていて必死だ。最高指導部が現実を受け入れるか、それとも東芝 <6502> と同じ轍を踏むか、重大な岐路にある。

4位、GDP成長率7%割れ、実際の数字は闇の中

第1四半期7.0%、第2四半期7.0%と同じ数字が続き、多くのアナリストが第3四半期は6.8%ではないか、と予想していたところ、発表は6,9%であった。まるで数字当てゲームのような様相で、実際の数字は闇の中というしかない。もともと目安に過ぎない、とされていたが、糊塗を繰り返してきたツケで、今や政治的焦点に変化してしまった。

3位 貿易総額マイナス、輸入は大幅減、輸出国に大打撃

中国は今年の貿易総額を6%アップと目標を立てていた。それが11月21日公布の海関総署(税関)統計月報では、1~10月の累計(ドルベース)で輸出▲2.5%、輸入▲15.7%、輸出入総額▲8.6%という悲惨な数字となっている。中国への輸出依存度の高い諸国は、輸入大幅ダウンの影響をまともに受けた。

Forbes JAPANによる対中輸出比率の高い国ランキングは、1位オーストラリア、2位台湾、3位韓国、4位チリ、5位日本、以下ペルー、ブラジル、マレーシア、タイ、インドネシア、という順で、地球の裏側まで影響を及ぼしている。

2位 AIIB設立とSDR通貨採用、国際的影響力を増大へ

中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)は57カ国の創立メンバーを得て、年末に正式発足する運びとなった。欧州を取り込み日米と欧州の間にくさびを打ち込んだこと、また真の狙い、国内の建設業界に救いの手を確保できることで、本年唯一の快心の勝利だろう。

人民元のSDR通貨採用は象徴的な意味合いの強いものだが、中国の新聞は、海外旅行前に外貨両替の必要がなくなるなどと国民の大国意識をくすぐった。

1位 株式市場バブル崩壊

上海株総合指数は、昨年11月に2500ポイントを突破した後、上げ足を速め、今年1月23日には3406,79まで上昇した。しばらく3000台前半で足踏みしたが、4~5月にかけて急上昇、6月12日には最高値5178.19を付けた。

しかしここから急坂をころげ落ち、1カ月後の7月9日には3337.54まで下落、元の木阿弥に戻った。さらに8月26日には2850.71まで下落したが、11月以降は3500ポイント近辺で推移している。中国リスクの顕在化と認識され、世界の株式市場に大混乱をもたらした。

しかし2500ポイント以前からの所有者には打撃がなく、高値売り抜けに成功した人々もいて、大損したのは5~6月の熱狂の尻馬に乗った一部の人に限られる。報道の過熱ぶりとはかい離がありそうで、実際に個人消費指標は年間を通して堅調に推移している。(高野悠介、中国在住の貿易コンサルタント)

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