光コラボ
(写真=HPより)

通信各社が、携帯電話とインターネットなどの固定通信サービスをセットにして携帯料金を割り引く、いわゆる「セット割」に力を入れている。「auスマートバリュー」などはCMでよく聞く商品名ではないだろうか。

しかしこの「セット割」、以前は販売が規制されていた。NTTによる光回線の「卸売り」という大きなビジネスチェンジによって通信業界は大変革の様相を呈している。


ドコモが「セット割」できなかったワケ

ドコモを有するNTTグループは、最近まで「セット割」を実施することはできなかった。それは電気通信事業法における「禁止行為」に抵触するからだ。もともとNTTは旧電電公社からスタートした会社で独占的な国営事業である。1985年に民営化されたが、参入企業が不利にならないよう、NTTの事業に対してはさまざまな規制が設けられた。そのひとつが特定事業者を優遇したサービスの禁止なのだ。

しかし、NTT東西が昨年、光回線サービスを他社にも提供する「卸売り」へと転換を発表したことで公平性は担保されることになり、国の規制緩和を待たずして、「セット割」が可能になった。そこでドコモは、満を持して今年2月に「ドコモ光」というセット割をスタートさせたのだ。


各社の販売状況、先行のauが大きくリード

なぜauが以前からセット割を販売できたのかといえば、それは独自の光回線を持っていたからだ。親会社のKDDIは、NTTに頼らない光回線を確保したいとして、2006年に光回線を使った事業展開をしていた東京電力の通信回線「TEPCOひかり」を引き継ぎ、「ひかりone」の提供を開始した。その後、2009年に「auひかり」へ名称を変更。

そして、上に述べたようにNTTへの規制により、セット割を実施できないNTTグループとの差別化を図るために、他社に先行し、各ケーブルテレビ局や自社光回線を利用したセット割サービス「auスマートバリュー」を2012年3月にスタートしたのである。セット契約で携帯料金が毎月最大2000円も割引となる。

これまでなかった割引方法と、割引額の大きさから、高い携帯代の節約方法として注目され、2012年2月末では3467万件だったau契約数も、2015年第2四半期で4464万件と順調に推移。auスマートバリューの加入者も、2015年8月に1000万を突破した。

ソフトバンクはといえば、ドコモ同様、自社で光回線を持っていなかったので、これまでは「セット割」に参入できなかったが、NTTの光コラボレーションモデルのサービス開始を受けて、ようやく「Softbank光」を今年3月から導入した。

ではこの「光コラボレーションモデル」とはどういうものなのだろうか。