需給・価格判断:海外需給は悪化、マージンは改善

◆需給判断:海外需給は悪化

大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比横ばい、非製造業では1ポイント低下した。個人消費の伸び悩みが影響したとみられる。一方、製造業の海外での製商品需給は前回から1ポイント低下。新興国の景気減速が影響したとみられる。

先行きについては、国内需給は製造業・非製造業ともに1ポイント低下、製造業の海外需給は1ポイントの上昇が見込まれている。いずれも小動きに留まり、需給の明確な改善は見込まれていない。

中小企業では、国内需給は製造業で1ポイント低下、非製造業では横ばいとなった。製造業の海外需給は3ポイントとかなり低下している。先行きについては、国内需給は製造業・非製造業ともに小幅に悪化する一方、海外需給は小幅に改善しているが、大企業同様、明確な改善は見込まれていない(図表4)。

◆価格判断:仕入コスト低下でマージン改善

大企業製造業の販売価格判断D.I.(上昇-下落)は前回から4ポイント低下、非製造業では横ばいとなった。円安による輸入コスト転嫁の動きは一服しているようだ。

一方、仕入価格判断D.I.(上昇-下落)は製造業で6ポイント低下、非製造業でも3ポイント低下しており、引き続き原油などの資源価格下落と円安一服によって仕入コスト増加圧力が緩和した状況がうかがわれる。製造業、非製造業ともに、販売価格D.I.の低下幅を仕入価格D.I.の低下幅が上回ったため、両者の差し引きであるマージン(利鞘)は前回から拡大している。

販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では横ばい、非製造業では2ポイントの低下が見込まれている。企業は今後の価格引き上げについて慎重に見ているようだ。一方、仕入価格判断D.I.は製造業で5ポイント上昇、非製造業で1ポイントの上昇が見込まれている。ともに販売価格D.I.が上昇しない一方で仕入価格D.I.が上昇しているため、マージンは縮小に転じることが見込まれている(図表5)。

中小企業の販売価格判断D.I.は製造業が前回から3ポイント低下、非製造業ではまるぽいんとのていか横ばいとなった。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で8ポイント低下、非製造業でも2ポイント低下したため、差し引きであるマージンは、大企業同様、それぞれで拡大している。

先行きについては、販売価格D.I.が製造業で2ポイント低下する一方、非製造業では2ポイント上昇している。一方、仕入価格判断D.I.は製造業・非製造業ともに5ポイント上昇しており、マージンの縮小が想定されている。

日銀短観4