業況判断D.I.:全規模全産業は足元やや改善、先行きは悪化

全規模全産業の業況判断D.I.は9(前回比1ポイント上昇)、先行きは3(現状比6ポイント低下)となった。規模別、製造・非製造業別の状況は以下のとおり。

◆大企業

大企業製造業の業況判断D.I.は12で前回調査から横ばいとなった。業種別では、全16業種中、悪化が8業種と改善の7業種を若干上回った(横ばいが1業種)。

市況悪化に苦しむ非鉄金属(11ポイント悪化)、繊維(同)、中国経済減速の影響を大きく受ける生産用機械(10ポイント悪化)などで悪化が目立つほか、4月からの軽自動車税増税の悪影響を引きずる自動車(3ポイント悪化)も悪化した。一方で、造船・重機等(11ポイント改善)や採算が向上している化学(6ポイント改善)などでは改善が目立った。

先行きについては、悪化が11業種と改善の4業種を大きく上回っており、全体では5ポイントの悪化を示している。引き続き、生産用機械(13ポイント悪化)での悪化が顕著なほか、鉄鋼(9ポイント悪化)、造船・重機等(8ポイント悪化)、自動車(8ポイント悪化)などでも悪化が目立つ。

大企業非製造業のD.I.も25と前回調査から横ばいとなった。業種別では、全12業種中、改善・悪化ともに6業種となっている。

物品賃貸(11ポイント悪化)、対事業所サービス(同)のほか、国内消費の伸び悩みの影響を受ける卸売(1ポイント悪化)や小売(3ポイント悪化)、杭打ち不正問題の影響が出始めている不動産(3ポイント悪化)などで悪化する一方、情報化の追い風を受ける通信(11ポイント改善)、情報サービス(5ポイント改善)、訪日客増加の追い風を強く受ける宿泊・飲食サービス(1ポイント改善)などが下支え役となった。

先行きについては、悪化が10業種と殆どを占めており、改善はゼロ業種、全体では7ポイントの悪化となった。政府からの値下げ圧力を受ける通信(39ポイント悪化)が劇的な悪化を示すほか、小売(8ポイント悪化)も悪化を見込む。さらに、ここまで底堅い動きを見せている宿泊・飲食サービス(14ポイント悪化)も大幅な悪化に転じている。国際的に相次ぐテロの影響や新興国経済の減速によって、今後勢いが削がれるリスクが意識されたようだ。

日銀短観2

◆中小企業

中小企業製造業の業況判断D.I.は0で前回から横ばいとなった。業種別では全16業種中、悪化が8業種と、改善の7業種をやや上回った(横ばいが1業種)。

業種別では、大企業同様、生産用機械(12ポイント悪化)の悪化が最大となったが、はん用機械(10ポイント悪化)、造船・重機等(6ポイント悪化)の悪化も目立つ。一方、これまで回復の遅れていた石油・石炭製品(8ポイント改善)、繊維(同)、木材・木製品(6ポイント改善)などで景況感が改善した。

先行きは、悪化が14業種と改善の1業種(非鉄金属)を大きく上回り(横ばいが1業種)、全体では4ポイントの悪化が示された。足元で改善が目立った石油・石炭製品(11ポイント悪化)、木材・木製品(同)で悪化幅が大きいほか、引き続き生産用機械(8ポイント悪化)も大きく悪化する見込みとなっている。

中小企業非製造業のD.I.は5と前回比2ポイント改善した。全12業種中、改善が9業種と悪化の2業種を大きく上回った。大企業同様、通信(2ポイント改善)、情報サービス(5ポイント改善)、宿泊・飲食サービス(2ポイント改善)などが牽引役となった。一方、電気・ガス(12ポイント悪化)、不動産(1ポイント悪化)が悪化した。

先行きは、悪化が9業種と改善の2業種を大きく上回り(横ばいが1業種)、全体では5ポイントの悪化となった。通信、情報サービス以外は、幅広く悪化が示されている。

日銀短観3