(写真=PIXTA)
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12月8日、Amazonで「お坊さん便」なるものが出品され、話題を呼んでいる。「お坊さん便」とは、自宅や墓地で法事(法要)を上げる際に、お坊さんを派遣して読経や法話をしてもらえるサービスである。

出品以来、利用者や個人の僧侶からも注目を集め、問い合わせが殺到しているという。一方で仏教界からの反発もあり、なにかと話題を呼んでいる。今回はサービス内容を中心に、格安葬儀ビジネスの周辺を紹介してみたい。

「お坊さん便」の仕組み、価格は?

「お坊さん便」とは、49日や一周忌といった法事(法要)の際に、読経や法話を行なう僧侶を手配するサービス。サービスの内容と料金は、以下の通り。

・自宅もしくは墓地など一箇所での法要の場合:3万5000円
・自宅から墓地への移動など、2箇所で法要を行う場合:4万5000円
・移動はないが法要に加え戒名を授与する場合:5万5000円
・移動があり法要に加え戒名を授与する場合:6万5000円

手配は全国どこでも可。僧侶の紹介・手配手数料は無料。お車代・お膳料・心づけ不要。支払いはAmazonなのでワンクリックで注文できるし、クレジットカード支払い可。これ以上はない明朗会計で、なんともお手頃・お手軽である。

もともとは、葬儀全般の紹介・手配を専業とする「みんれび」という会社が提供しているサービスで、法事・法要の手配サービスをチケット化してAmazonに出品したところ、直後から問い合わせが相次ぎ、注目度が一気に高まったというのが経緯のようだ。

そもそもなぜ葬儀にお金がかかるのか?

「葬儀にはとてもお金がかかる」というのがこれまで多くの人が抱いてきたイメージだろう。日本消費者協会が葬儀費用について調査した報告(平成26年1月)では、葬儀費用の総額は全国平均で約189万円、最低額は20万円だが、最高額では800万円にものぼる。

内容と料金の内訳は、次の3つに大別される(同じく日本消費者協会調べ)。

葬儀費用一式…遺体搬送・通夜・葬儀式・告別式・火葬・骨上げ等:122万2000円
寺院の費用…読経料や戒名料など:44万6000円
飲食接待費用…料理や飲み物、会葬返礼品など:33万9000円
合計 188万9000円

葬儀に関する不明瞭な料金は人を困惑させるが、なかでもよくわからないのが①の葬儀費用一式と、②の読経料や戒名料などだ。

急を要するので「言い値」になる

葬儀は急を要することが多いので、慌ててしまつて明細もよく見ずに、いわれるままに高額な葬儀費用を支払いがちだ。また病院や警察で紹介された葬儀社をそのまま利用することも多いため、料金比較の機会を失う。結果として高額の葬儀代がかかり、しかも大抵の場合、明細書や領収書の内容がかなり大雑把なので、利用者の不信を買ってしまう。

そうした事態を避けたいからこそ、「お坊さん便」をはじめとした格安で料金が明確な葬儀サービスが注目を集めているのだろう。

「お坊さん便」だけではない格安葬儀

実は格安葬儀は「お坊さん便」だけでなくいろいろと登場している。また、すでに一括見積もりサイトも存在する。代表的なサービスとその内容をいくつか紹介しよう。

◯シンプルなお葬式: http://www.お葬式なら格安葬儀.net/?
その名の通り、超格安シンプルプランを網羅。追加費用なしのすべてコミコミ定額プランなので安心できる。火葬式 14万8000円〜

◯小さなお葬式: http://www.osohshiki.jp
こちらも追加費用一切なしのコミコミプラン。追加費用が発生した場合の返金保証もある。火葬式 18万8000円〜

◯葬儀レピ: http://葬儀費用安いno1.net
業界では珍しい「葬儀の一括見積りサイト」。1回の入力で最大10社の見積りが取れる。

格安葬儀は、いずれも相場の1/10ほどの金額をうたっている。こうしたサービスに対して、とくに仏教会からは「宗教はビジネスではない」、「葬儀は営利目的ではない」といった反発の声が上がっている。しかし、営利目的でないなのなら、なぜ明細が不透明で、なおかつ不自然に高額なのか。説得力は薄い、といわざるをえない。

また、寺院や檀家を持たないいわゆる“マンション坊主”からも、格安葬儀を歓迎し登録を急ぐ僧侶が増えているという。

一部の反発はありながらも、需要と供給の両面から、こうした格安葬儀の利用は、今後ますます広がっていくに違いない。

自分が納得できる葬儀のあり方を見つけよう

葬儀費用に関するこれまでの不透明な価格体系への疑念を背景に、低価格でしかも料金が明確ならば喜んで利用したいという層は確実に増えている。

そもそも葬儀とは、残された人たちが故人を忍び、安心してあの世に送れたと得心するための儀式だ。だからその納得のレベルにより、形も価格も多様性があっていい。最近の格安葬儀の相次ぐ登場は、そうした多様なニーズへの対応により生まれたといえるだろう。

自分の納得できる葬儀を行うためには、自身が希望する葬儀内容と予算について、事前によく調査し準備しておくことが大切なことはいうまでもない。(ZUU online 編集部)

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