明治大学が行っている「女性のためのスマートキャリアプログラム」が文部科学省の「職業実践力育成プログラム」(BP)に認定された。
BP認定制度は、社会人の大学などでの学び直しを推進する目的で2015年7月に創設されたもの。大学・大学院・短期大学・高等専門学校における社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを文部科学大臣が「職業実践力育成プログラム」として認定するのだ。
女性の再就職への機会「学び直し」
出産や子育てで仕事を離れていた女性にとって、職場復帰や再就職は容易なものではない。求人数が少ないうえに、たとえ就職先がみつかったとしても積み重ねたキャリアを生かせる仕事ではないというケースは多々ある。
希望どおりの再就職、または起業を考えた場合、学位課程への社会人入学といった「学び直し」は可能性を拡げる良い機会となる。
内閣府の『男女共同参画白書』で2012年度の大学院入学者における女性の割合を見てみよう。大学(学部)卒業直後に入学する人の割合は約3割だが、その後減少し35歳以降で増加に転じている。修士課程への入学者に占める割合では、学部卒業直後の時期が一番低く、その後次第に上昇し、40歳~54歳では50%を超えている。35歳以降、または40歳以降での入学者増加というデータから、子育てを終えた女性の「学び直し」への意欲がうかがえる。
社会貢献促進のための「履修証明制度」
冒頭紹介した明大のプログラムは文科省の「履修証明制度」を利用した女性向けのビジネスプログラムで、2015年4月に開講した。
「履修証明制度」は2007年の学校教育法の改正により創設された。大学などでのより積極的な社会貢献を促進するため、学生を対象とする学位プログラムのほかに、社会人など学生以外の者を対象とした学習プログラム(履修証明プログラム)を開設し、その修了者に対して法に基づく履修証明書を交付するものだ。
明大のプログラムは“女性の活躍”が国の競争力や経済力を拡大させるうえで重要だという認識が高まるなか、受講対象者を女性に限定した短期集中プログラムだ。
期間は約6カ月間。結婚、出産、子育てなどで家庭に入った女性の仕事復帰や社会での新たな活躍を支援する。昼間コースと夜間・土曜主コースの2コースがあり、昼間コースについては専業主婦でも通いやすい日中の時間帯に授業が組まれている(10:30~12:00、13:00~14:30の1日2コマ)。
プログラムの内容はビジネスの基礎からマネジメントまで、再就職を希望するさまざまな女性たちに対応している。必修科目として「金融・財務リテラシー」「マーケティング実践プロジェクトゼミナール」「マネジメント・サロン」、選択科目として「企業戦略とビジネスデザイン」「マネジメント層に求められるコンピテンシーの理解と開発」といった科目が並ぶ。
大きな特徴として、マーケティングや財務といったビジネスの基本科目に加え、実際の企業の課題解決にチームで取り組み、策定した企画案をその企業の経営陣に向けてプレゼンするというゼミナール形式の講義も行っていることが挙げられる。高い実践力を育成するプログラム内容が、受講生だけでなく求人を行う企業からの支持を集めている。
また就職支援にも力を入れており、各企業や団体の協力によりキャリア支援セミナー、採用企業合同セミナーなどを実施している。
日本女子大学や関西学院大学でも
再就職をめざす女性向けの支援プログラムを行っているのは明治大学だけではない。日本女子大学のリカレント教育課程や関西学院大学の経営戦略研究科でも実績があり、同じくBPに認定されている。
日本女子大学リカレント教育課程は、育児や進路変更などで離職した女性に1年間のキャリア教育を通して高い技能・知識と働く自信・責任感を養い、再就職を支援するプログラム。2007年から行っており、再教育と再就職の2本の柱で女性のキャリアを育てる。
再教育の面では、英語やITリテラシー、金融、企業会計、内部監査などのビジネス性に特化した独自の科目を提供してスキルを付けさせる。学部の授業も履修できるという。再就職の面では、独自の合同会社説明会の実施、求人Webサイトの開設、就職に関するイベントの開催などの支援事業を行っている。
関西学院大学経営戦略研究科では、「ハッピーキャリアプログラム 女性の仕事復帰・起業コース」と「ハッピーキャリアプログラム 女性リーダー育成コース」を開講。前者は職場復帰や再就職、起業をめざす女性を対象に2008年に開講された。1~6期生の就業者比率は93%(2015年7月時点)。また2015年2月には後者の「女性リーダー育成コース」が新設され、役員や管理職といったリーダーをめざす女性の活躍を推進している。
日本の少子化対策には女性の活躍推進は欠かせない課題だ。各大学が手掛ける再就職支援のビジネスプログラムは、女性たちが自ら未来を切り拓く足がかりとなるだろう。(ZUU online 編集部)
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