(写真=PIXTA)
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「納税のしやすさ」の国別ランキングである「Paying Taxes」の2016年版が昨年末に発表され、日本は189の国と地域の中で121位であることがわかった。

なお1位は、アラブ首長国連邦およびカタールで、ともに天然資源が主要な産業となっている国が選出される結果となった。この調査は、英国を拠点とする世界的な会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)と世界銀行グループが共同で2007年度から毎年実施しているもので、今回はちょうど10回目に当たる。

同ランキングは、各国企業の税負担を、税率、申告や納税に要する時間、納税回数といった3項目から総合的に分析しランク付けしたものだ。この分析には各国の中堅規模の企業のデータが使用されている。また、今回の結果は2014年のデータを元に作成されている。

まずランキングから見てみよう。

ランキング上位20ヵ国 ベスト3までは資源大国

1位 アラブ首長国連邦
1位 カタール
3位 サウジアラビア
4位 香港
5位 シンガポール
6位 アイルランド
7位 FYRマケドニア
8位 バーレーン
9位 カナダ
10位 オマーン

11位 クウェート
12位 デンマーク
13位 モーリシャス
14位 ノルウェー
15位 イギリス
16位 ブルネイ・ダルサラーム
17位 フィンランド
18位 カザフスタン
19位 スイス
20位 南アフリカ

では、世界の全体的な傾向を見てみよう。

電子申告・納税により負担軽減

企業の税負担に関する数字の世界平均は、税率が40.8%、申告・納税に要する時間が261時間、納税回数は25.6回となった。世界全体としては、企業の納税のしやすさは10年連続で向上している。

ここ数年、納税のしやすさの向上に大きく貢献したのは、電子申告・納税制度だ。同制度を導入した国が2005年は46カ国だったのに対し、2014年には84カ国と、ここ10年間で約2倍となった。企業の税負担が軽減した主な要因は、2004年から2009年までは税率の減少によるものだったが、2010年から2014年までは申告・納税の電子化がこれに取って代わっている。

こうした電子化により世界全体では申告・納税に要する時間や納税回数が2004年から減少しているものの、低所得国・地域に関しては、この時間や回数の変化が見られない。こうした国・地域は電子申告・納税制度を導入する以前に、まずは通信システムのインフラ整備などを行う必要がある。

税負担を測る3項目のうち、納税回数に関してはここ10年間で各国の差が大きく縮まった。2004年には、世界最少が3回で最多は147回だったのに対し、2014年には最少が変わらず3回、最多が70回となっている。

今回の調査の計算上、世界の中には税率が100%を超える国、つまり利益の額より支払う税金の額のほうが高い国が2つもあることが分かった。アルゼンチン(税率137.4%)とコモロ(同216.5%)だ。これらの国では、企業は利益を上げれば上げるほど、手元に残るお金がなんと減ってしまうという計算になる。

日本および韓国・中国について詳しく見てみよう。

手間のかかる日本、税率の高い中国…韓国はアジア3位と健闘

総合で世界121位とあまり振るわない結果となった日本。税率は51.3%(世界平均40.8%)、申告・納税に要する時間は330時間(同261時間)、納税回数は14回(同25.6回)となり、納税回数を除いては世界平均を大きく上回った。中国や韓国と比較すると、申告・納税に要する時間が最長で、また納税回数も最多だ。

中国は総合で世界132位と、日本と同様あまり振るわなかった。同国の税率は67.8%、申告・納税に要する時間は261時間、納税回数は9回で、税率のみが世界平均を大きく上回り、逆に納税回数は大きく下回る結果となった。

中国の順位を大きく引き下げたのは、この高い税率だ。なお、同じ中国でも特別行政区の香港は、世界4位、アジアで1位と順位が大きく異なっている。

韓国は、総合で世界29位と、日中韓の中では飛び抜けて高い。アジア圏内では、香港(総合4位)、シンガポール(総合5位)に続く3位だ。同国の税率は33.2%、申告・納税に要する時間は188時間、納税回数は12回で、いずれも世界平均を大きく上回っている。(ZUU online 編集部)

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