③STAP細胞関連銘柄とその値動き

日経平均終値は1月29日が15383円、4月9日は14299円です。この期間は1万5000円台での売りが多く上下2000円ほどのレンジ相場にありました。 多くの関連銘柄がありますが一番顕著に株価に現れたのは東証1部上場の新日本科学【2395】ではないでしょうか。前臨床試験受託の最大手でiPS細胞研究所と共同研究を行い、以前からiPS関連銘柄として注目を集めてきました。理化学研究所との関係も深く、理研ベンチャー企業のヘリオスに出資もしています。

同社株は報道解禁前の1月29日終値1200円が翌30日には1470円で寄付き2月3日には高値1786円をつけました。 出来高もそれまでは多くて40万株程度だったものが、1月31日には4000万株を超えるまでに膨らみ売買代金の上位に位置することが多くなりました。あわせて株価も1日で10%を超える激しい値動きをする銘柄となりました。 しかし状況は一変。論文に疑義があり調査が発表されると出来高も急落、2月19日には100万株を割り込みました。 株価も多少の乱高下はありましたが下がり続け4月9日時点では1053円で引けています。 その他、関連銘柄と言われるメディネット【2370】、タカラバイオ【4974】、リプロセル【4978】、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング【7774】、セルシード【7776】なども相対的に同じ様な出来高の推移と値動きをしました。

こういった万能細胞関連銘柄は実用化までにまだ時間がかかると見られ、将来性での評価部分が多くなります。そのため「STAP細胞」発表直後の大きな荒い変動につながったと考えられます。 また連想買いで、実際には理化学研究所とは関係のない理研ビタミン【4526】が一時ストップ高となったことをはじめ、「理研」や「リケン」と名のつく銘柄が高騰、乱高下しました。

念のためお伝えしますが、理化学研究所は独立行政法人であり株式会社ではありません。


◎再生医療大国へ歩み始めた日本

日本では再生医療の実用化は遅れていると言わざるを得ませんでした。 再生医療製品の多くはベンチャー企業で開発されていますが、申請までにあまりにも時間と費用がかかるために臨床試験前に資金が底をついてしまう会社も数多く見受けられました。

しかし、2013年に発表された政府の日本再興戦略には再生医療製品を世界に先駆けて開発することと、革新的医療技術の発展につながる好循環を目指すと記されています。実際に再生医療製品を新たなカテゴリーとして分類し、迅速な承認が認められることが可能になったとして大きな変革が見込まれています。

その渦中でのSTAP細胞騒動でした。 関連銘柄も現在は下落基調ですが、今後の動向次第で大きく化ける可能性を秘めています。 新たな道を歩み出した日本の再生医療、そして「STAP細胞」関連銘柄は今後も注目です。

Photo:Microscope / Calsidyrose