【1997年の日本長者番付けTOP10】
順位 名前 所属 業種 資産(億円)
1 堤義明 西武鉄道 不動産 9600億円
2 森稔・章一一族 森ビル 不動産 6840億円
3 武井保雄 武富士 消費者金融 6240億円
4 伊藤雅俊 イトーヨーカ堂 小売り 5160億円
5 孫正義 ソフトバンク IT 4200億円
6 松田一男 日栄 事業者金融 3240億円
7 大塚正士 大塚製薬 製薬 3000億円
8 大島健伸 商工ローン 事業者金融 2040億円
9 滝崎武光 キーエンス 製造 1800億円
10 藤田田 日本マクドナルド 飲食 1560億円

1997年のランキング、まず目を引くのは、5位の孫正義氏でしょう。

孫氏は95年に番付に初登場、96年に国内TOP10入りをし、以後TOP10の常連となります。
また既に故人となられていますが、日本マクドナルド創業者の藤田田氏やキーエンスの滝崎氏など、1992年とは異なり、不動産開発でなくサービス業や製造業の分野での、事業家の方のランクインが目立ちます。
また97年はトップ10には入っていませんが、パソナグループ代表の南部靖之氏も、1996年に番付に登場し、国内TOP10にもランクインされます。

国内ランキング上位2名は、前回と同じく堤氏や森一族となっています。しかし、両名の資産額も大きく減っており、不動産関連事業以外からのランクインが増えている事実は、時代の変化を感じさせます。

またもう一つ特筆するべき点として、バブル崩壊以降2006年頃まで、貸金時業やパチンコなどの遊戯事業を営まれる方のランクインが目立つようになりました。 特に90年代後半は、個人向け、または事業者向けの貸金業を営まれている方のTOP10入りが目立ち、貸金業バブロがおきています。

1997年のランキングでも、武富士の武井氏や、商工ファンドの大島氏などが貸金業で著名な方がランクインしています。

バブル崩壊以降、景気の悪化により企業でも個人でも資金需要があるにも関わらず、銀行は不良債権の処理などの必要から資金貸出に消極的な時代が長く続きました。また97年にはアジア通貨危機や、山一證券の破綻などの金融危機を経験します。
そのような環境の中、第8位の大島氏が営まれる商工ファンドなどは、銀行審査で融資対象外(審査落ち)となった企業に対して、連帯保証人をつけることでリスクをコントロールしつつ、お金を貸し出すというビジネスをしていました。バブル崩壊後の不況が続く中で、需要が大きかったものと思われます。