(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「インバウンド」という言葉が、ここ1~2年で浸透してきた。「入ってくる」という意味だが、国内ではもっぱら「訪日客の需要を狙う」というニュアンスでよく、登場している。中には「インバウンド需要」「インバウンド観光」「インバウンド消費」といった形で、訪日外国人の旺盛な購買力を掴もうとする動きと連動している。

昨年の流行語大賞の候補にもあがった「爆買い」が象徴的だが、ヤマダ電機 <9831> やヨドバシカメラをはじめとした家電量販店、三越伊勢丹 <3099> などの百貨店が主な、インバウンド需要のメリットを享受する企業として注目されてきた。

しかし、インバウンド需要で潤いそうな銘柄はほかにもある。その一つが、翻訳・通訳の製品やサービスを提供する事業者たちだ。今回はその中から、注目の銘柄を掘り出したい。

訪日外国人数の目標は大幅に上方修正

まずは背景として、訪日外国人の動向を振り返ろう。2015年の年間訪日外国人数はまだ発表されていないが、12月19日時点で1901万人とすでに前年の1341万人を大きく上回っており、出国者数を45年ぶりに上回るのが確実な情勢だ。

外国人観光客急増にはいくつかの理由がある。その一つが有利な為替で、70円台に突入するなど空前の円高だったところが、逆に現在は円安傾向が続いており、外国人が日本を訪れやすい状況が続いている。さらに、アジア各国へのビザ要件緩和政策も、日本への観光ツアーの活発化を後押しした。

ほかにも、和食ブームや富士山の世界遺産登録、2020年の東京オリンピック開催決定なども大きな宣伝効果をもたらしていると言われている。その結果、政府が2020年の目標として掲げる訪日外国人2000万人の達成も、早々に実現しそうだ。

地方へ波及すれば通訳・翻訳の必要も

中国人の「爆買い」に代表されるように、訪日外国人の消費は巨額に上り、通年で3兆円を上回る見通しも出てきている。昨年7-9月の国内における総消費額は前年同期比8割増と大きく増えて1兆円に達し、実績ベースでも目に見えるプラス効果をもたらしている。

詳しく分析すれば、訪日外国人一人当たりの消費額は平均19万円弱。買い物、宿泊、交通費が上位を占めているが、接客には通訳・翻訳の媒介がほぼ不可欠なことも忘れてはならず、よりきめ細かい「おもてなし」を必要としているのが現状だ。

政府観光局のアンケートによると、再び日本を訪れたいとする外国人は実に9割を上回り、繰り返し日本に観光に来る外国人が都市圏以外の場所を訪れるようになることも想像できる。人的資源が乏しいこうした地域では、携帯端末などを通じて機械通訳・翻訳や通訳オペレーターを活用するサービスが大きく伸びるとも見込まれている。