晩婚化
(写真=PIXTA)

晩婚化が進んでいる。2014年厚生労働省の調査によると平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳とほぼ30歳となっている。それまでそれぞれが自由きままにお金を使ってきたカップルが結婚したあと、家計をやりくりしていくことは非常に難しい。

「独身貴族」時代が長いと独身ならではの金銭感覚から抜けだしにくいことも多い。「今がよければ」とまではいかなくても、長期的に将来をふまえたマネープランをたててやりくりしている未婚者は少ない。また、晩婚化により様々なライフイベントが人生の後半に集中してしまうので、計画的な貯蓄計画が大切になる。そこで、今回は30歳をすぎて結婚した場合に気をつけたい理由について考えていきたい。

抜け出せない自由な「独身貴族」のお金の使い方

学校を卒業してから30歳過ぎまで未婚であった場合、それまでの生活はどうだったであろうか。自宅から通勤しているケースでは、手取収入25万円のうち、自宅の親に3万程度支払い、光熱費・自宅での食費はその中に含めて、あとは自由に使っているということも多い。その中で、しっかり金額を決めて貯蓄しているケースもあれば、残ったお金は自分のおこづかいとして外食や旅行、習い事、美容、衣服代と使いきってしまい貯蓄が全くないケースもある。

一人暮らしをしている場合、家賃や光熱費を自分で支払っているので、やりくりに敏感になっている人の割合も多くなるのだが、それでも固定費以外は自分の自由に使い、貯蓄や保険などに無頓着のままというケースも少なくない。

自由にお金を使えてきた二人が結婚して、いざ家計をやりくりしようと思ってもなかなかそれまでのお金の使い方から抜けきれず、お金がなかなか貯められないということになりがちだ。どのように家計をやりくりしていったらいいかというカップルのご相談も多くなってきている。

「晩婚化」=出産の高齢化

晩婚化の理由はさまざまだが、女性の社会進出が進んでいることが大きな要因とされている。晩婚化が進むと、当然初産の年齢も高齢化してきているのが現状だ。

2015年厚生労働省の調査では、出産年齢の平均は第1子で30.4歳、第2子は32.3歳、第3子は33.4歳となっており、1975年に比べ、それぞれ4.7歳、4.3歳、3.1歳上昇している。父親の平均年齢は、第1子32.5歳、第2子34.2歳、第3子35.2歳となっている。

つまり、出産年齢が30歳であれば子供が成人するのは自分が50歳の時。勤務先の定年が60歳であればその10年前である。第2子以降のことを考えると定年ぎりぎりまで教育費のやりくりに奔走しなければならない。

教育費の大きなターゲットともいえる大学資金については、4年で669.4万円(日本政策金融公庫の2015年調査)と高額だ。晩婚家庭では、比較的収入にゆとりがあることもあり、教育費にお金をかけがちな傾向にあり、子供が小さい頃からお稽古ごとなど何かと習わせている家庭が多いが、子供が小さいときほど貯めどきと心得、きちんと貯蓄したい。子供が複数人いる場合には、子供一人一人に対して、きちんと計画を立てることが大切だ。

また、教育費と同時に考えていかなくてはいけないことが住宅の購入。教育費がピークのときに、高額な住宅ローンも支払わなければならないと、自分の老後資金準備は子供のことが落ち着いてからと思っても、家計に余裕がなく気がついたときには手遅れとなりかねない。しっかりとライフプランを考え、いつまでにいくら必要か、そのためにはどのようなバランスで貯めるか運用するかを見極めていくことが重要だ。

晩婚だからこそ考えたい家計のやりくり

家庭を築いていくということは、それまでの「独身貴族」から卒業することである。自分だけのことではなく、パートナーや子どものことを考え将来を見据えたお金のやりくりが大切だ。長年の暮らし方をいきなり変えるのはストレスになり家族不和にもなりかねない。

それぞれの考え方や、やり方を尊重しつつ歩み寄りながら考えていきたい。自分の中でゆずれないことと、我慢できることの折り合いをつけながら、将来を見据えていつまで何のためにいくら必要か、タイムリミットと目的と金額を明確化して準備・やりくりしていきたい。

「晩婚化」ゆえに、様々なライフイベントの準備へのタイムリミットは短くなりがちだ。人生の3大資金といわれる教育資金、住宅資金、老後資金の準備など同時進行で準備していく必要がある。前述したように、ありがちなのが、教育資金、住宅資金に使いすぎて、自分たちの老後資金がまったく準備できていないというケース。準備する時間が短いからこそ、3大資金の準備はバランスよく、計画的に準備したい。

このように晩婚家庭は、資金面では大変であるが、若い頃にはなかった心のゆとりは「晩婚」ならではのメリットでもある。熟成された大人としてしっかりとやりくりしていきたい。

稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP)、心理カウンセラー
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆業務を行い、テレビ・新聞・雑誌などのメディアでも活躍中。 FP Cafe 登録FP。

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