(写真=株主手帳/IFA原田茂行氏)
(写真=株主手帳/IFA原田茂行氏)

今月のテーマ:医療機器

ついに、日本の医療費が2014年度の総額で40兆円を突破しました。医療費全体の36%を占める75歳以上の医療費が一人あたり年間93万円で、75歳未満(21万円)の約4・4倍にのぼります。団塊の世代が75歳以上になる2025年には50兆円を超える試算もあり、増加し続ける医療費は国家財政を圧迫し、日本の将来に暗い影を落としています。

一方、この流れを拡大する市場と捉える動きもあります。医療産業を、日本を支える成長産業にするべく、アベノミクス成長戦略でも重要なテーマと位置づけて医療改革と国際展開が推進されています。

医療機器の世界市場は現在約40兆円ですが、高齢化社会は世界規模で進んでおり、新興国の経済成長に伴う医療需要の伸展も加味すると世界の医療機器市場はさらに拡大すると予想できます。

すでに、日本政府主導で世界への病院展開が進められ、進出対象国は22か国にのぼります。安倍首相自らトップセールスで中東やロシアに日本の医療を売り込み、官民あげての医療パッケージを輸出する取り組みが本格化しています。病院の輸出はその国の医療レベルを引き上げ、現地の医師の医療スキルの向上は長期的に日本の医療機器ニーズにつながるでしょう。

医療機器1

特に中国、東南アジアの医療機器市場は輸出先として有望です。中国の市場規模は人口13・5億人に対して約200億ドルと日本の市場に満たないものの、生活水準の向上をうけて医療ニーズが急速に高まっています。東南アジア諸国の市場規模も非常に小さく、例えばインドネシアは人口2・4憶人に対し、約5億ドルと市場が無いに等しい規模です。

ミャンマーやカンボジアは未開拓に近く、今後の経済成長を考慮すると、年間二桁の伸びが予想されています。

医療の世界では絶対安全・安心が保障されなければならず、ずば抜けた品質の日本製が選ばれる可能性は高いでしょう。これまで日本経済を牽引してきたエレクトロニクス産業が後退する現状にあって、方向を付加価値のある高価格製品にシフトしなければならず、その代表的な高価格製品こそが医療分野なのです。

ソニーは、内視鏡世界シェア70%のオリンパスと組んでカプセル内視鏡・画像診断装置の展開を進めています。カプセル内視鏡の先端に埋め込まれ内臓を照らすLEDはほぼ日本の独壇場で、撮影のためのCMOSセンサーは世界でもソニーが強みを見せる分野。無線通信用の半導体、全体をコントロールするマイコンやASICなども内蔵する、まさに半導体の塊です。

医療機器2

不正会計問題で揺れる東芝も、医療機器分野での存在感を増しています。CTスキャナー、超音波診断装置では世界3位で、今後医療機器の品ぞろえを強化し、医療で復活を図る考えです。

三菱電機は重粒子線がん治療装置で、世界シェア断トツトップ、東芝、日立現、電子カルテ導入の促進等が掲げられ、医療システム、電子カルテを手がける企業にも期待は集まります。

医療機器の関連銘柄は、診断系機器で日立製作所、東芝、三菱電機、オリンパス、富士フイルム、シスメックス。治療系機器でテルモ、ニプロ、マニー。電子カルテで富士通、ソフトウェア・サービス、CE
ホールディングス。

医療機器全体で見ると、日本は大幅な輸入超過で約8000億円の貿易赤字になっています。診断系機器といわれるCT、MRI、・超音波診断装置、内視鏡等は日本が得意とする精密加工技術を生かした分野で大幅な輸出超過ですが、治療系機器等人体の中で作用するもの、例えば人工関節、血管用チューブ、カテーテル等は、その不具合・故障などにより人体へ危害が及ぶリスクがあるため避ける傾向が日本企業にあり、治療系機器は大幅な輸入超過となっています。

増え続ける医療費の一部が貿易赤字として海外に流出している現状ですが、医療を今後の日本経済を支える成長産業として、その先端技術を世界にアピールし大きく飛躍させていくことが期待されます。

IFA原田茂行氏
【プロフィール】
大和証券、SMBC日興証券、野村証券を経て株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルに所属し、IFAとして独立。日本証券アナリスト協会検定会員、囲碁三段。(記事提供: 株主手帳 )

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