(写真=Thinkstock/Getty Images)
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高いのか安いのか良く分からない不動産価格

不動産投資を行うにあたって、やはり気になるのは収益性だ。賃料収入はほぼ一定のため、物件価格次第で利回りが高くなったり、安くなったりする。できれば物件を安く購入したいところであるが、不動産の場合、スーパーの「もやし」のように、色々な店舗に商品が並んでいる訳ではないため、価格自体に馴染みがない。自分が購入する物件が、そもそも高いのか安いのか分からない部分もあるのではないだろうか。そこで今回は、投資物件の価格について見ていくことにする。

投資商品の原価とは

不動産以外にも、株や外貨のように、投資商品というものは存在する。それらにも、価格が存在するが、株や紙幣などは元々をただせば、ただの紙切れだ。通常、モノには原価というものがある。株や紙幣の原価は紙のため、原価に基づいて価格を考えれば異常に高い金額で取引されていることになる。このため、株や外貨といった投資商品の価格は原価とは無関係に形成された収益性からみた概念的な価格と言える。

一方で投資用不動産も、投資商品であるが、土地と建物というモノが存在するため、株や外貨と同様に原価とは無関係に決まっているとは考えにくい。明らかに原価というものが存在するはずである。実際、不動産鑑定士が行う不動産の鑑定評価においても、原価を意識した鑑定評価が行われる。不動産鑑定においては、「費用性」、「市場性」、「収益性」の3つの観点から鑑定評価が行われており、この内、「費用性」というのが原価に着目して不動産の価格を出す手法だ。

不動産の原価を求める手法

不動産鑑定評価において、原価に基づき価格を算出する方法を、文字通り原価法という。不動産投資家にとってみると、収益性の方が重要なため、収益還元法という名前は知っていても、原価法という名前には馴染みがないかもしれない。しかしながら、不動産の鑑定評価は、「費用性」、「市場性」、「収益性」の価格の三面性を考慮して、価格を算出することが原則であり、実はREITが取得している不動産鑑定評価書においても、この原価法は必ず行われている。

原価法によって求められた価格は積算価格と言われるが、この積算価格が正に投資物件の原価に相当するのである。積算価格は建物と土地の原価をそれぞれ合算して求められることになる。この内、建物の原価については分かり易い。建物の原価は、単純な言い方をすると建設会社へ支払う工事代金となる。また通常は設計料なども発生するため、これらの建物を新たに建築する際に係る費用を含めて再調達原価といい、不動産鑑定評価においては、再調達原価を用いる。

鑑定評価の場合、建物の再調達原価は価格時点における建築費の相場が基準となる。築古の建物であっても、過去の請負金額ではなく、今建築したらいくらかかるかというコストが計算される。さらに建物は経年と共に劣化するため、減価修正という価値を減らす計算を行う。この計算によって、築10年の建物であっても、今時点で築10年目の建物のコストはいくらかをはじくことになる。

一方、土地について、原価とは何かという問題もある。埋立地や造成地であれば、理論上は土地を生み出すための原価が分かることになる。しかしながら、都心部の収益物件の場合、土地を新たに作り出すことはなく、既に土地が存在する既成市街地の上に建物を建築する。そのため、土地の原価については、埋立費や造成費ではなく、更地の取引価格を原価に置き換えることになる。更地は普通に売買されているため、既成市街地であっても価格を把握することが可能となる。積算価格において、土地の原価はいわゆる更地価格ということになる。

収益から不動産価格を求める手法

不動産投資家が重視する収益価格は、賃料収入から費用を差し引いた純収益を利回りで割り戻して求められる。不動産鑑定評価における直接還元法と言われる収益価格を求める算式は、「収益価格=純収益÷還元利回り」という単純な関係式で定義されている。この計算過程においては、土地がいくらなのか、建物がいくらなのかは考慮されない。考慮されるのは賃料収入と賃貸費用、それと利回りであって、正に投資家目線の価格となる。上述の減価修正のようなことも行わないため、賃料が高く維持できてさえいれば、建物の築年数に関わらず、収益価格は高いまま維持できるというのも特徴だ。

バラバラに試算される2つの価格

このように積算価格と収益価格は価格を求めるアプローチが全く異なるため、実際の鑑定評価においては、異なった価格となる。積算価格と収益価格のどちらが高くなるかは、物件によっても、時期によっても異なる。都内の需要の高い収益物件であれば、収益価格が積算価格を上回っているケースもある。一方で郊外の誰も借りないような物件であれば、収益物件としての価値は低いため、積算価格の方が高くなるケースも多い。

収益物件の価格の判断は利回り

結局のところ、積算価格と収益価格はアプローチが異なるため、原価は投資家にとってみると、あまり意味を持たなくなる。不動産投資においても、投資家にとってみればコストではなく概念的な収益価格の方が重要だ。物件が安いか高いかは、自分が確保したい利回りと比較することで明確になる。収益物件は、利回り感を持つことが、価格の高低を見極める有効な方法と言って良いだろう。(ZUU online 編集部)

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